仲里依紗 「大奥」で時代劇初挑戦 「子供の頃の日本舞踊を初めて生かせた」

[ 2023年2月14日 07:30 ]

ドラマ「大奥」で徳川綱吉を演じる仲里依紗(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHKのドラマ「大奥」(火曜後10・00)で江戸幕府5代将軍・徳川綱吉を演じる俳優の仲里依紗(33)がインタビューに応じ、「子供の頃にやっていた日本舞踊を初めて生かせました」と明かした。

 ドラマは、よしながふみさんの人気漫画が原作。男性と女性が逆転した大奥の物語で、仲にとって初めての時代劇だ。

 「お話をいただいて、所作も知らない私がこんな大役を演じられるのか不安でした。原作ファンも多いので、まず、その方たちに『私で大丈夫ですか?』と聞きたいくらい心配しました」

 綱吉の役柄設定には「美貌と教養を兼ね備えた」と記されている。

 「美貌!?と思いました。私が今までやった役は、不倫されたり、ちょっと残念な役が多かったので、今回のように、みんなをはべらせて『上様に恋をしているのでござりまする』なんて言われるような役をやっていいのかという不安がありました。色気だったり、女性としてのものを私に出せるかという不安もありました」

 この物語で綱吉は3代将軍・家光の娘という設定。家光は同じ事務所の後輩・堀田真由が演じた。

 「最初にマネジャーさんから『真由ちゃんの娘です』と言われた時は、えっ、どういうこと?と思いました(笑)。真由ちゃんがお母さんなんだ…と思いましたけど、この物語の家光は芯が強いので、その強さは綱吉に遺伝しているのかなと思います。綱吉は衣装が派手なので、そこは私自身に寄っているかもしれません」

 初めて臨んだ時代劇の撮影現場には苦労と楽しさがあった。

 「全てに戸惑いました。畳のへりを踏んではいけないこと、肩を動かさずに歩かないといけないことにびっくりしました。セリフもイントネーションが難しくて、特に『ならぬ』の『ぬ』を言うのが大変でした。子供と遊ぶシーンで『ほ~れ』と言って球を投げるのも難しかった。全て勉強から始まったので、体力の消耗が激しかったです。でも、みんなが私のことを『上様』と呼んでくれるし、私が『やれ』と命令すればやってくれるので、快感です。初めて自分の姿をモニターで見た時は、タマネギ頭みたいな感じなので、これで大丈夫?と思いました。私は普段、派手ですけど、それとはまた違う派手さがあります。まあ、みなさんからすれば、普段の私の方が大丈夫?という感じなんでしょうけど(笑)」

 撮影では、3歳から中学3年まで続けた日本舞踊を生かすことができた。

 「親に勧められて日本舞踊を習っていたんです。私はヒップホップを習いたくて親に何回も頼んだんですけど『日本舞踊があるからだめ』と言われました。でも、それが今回初めて生きました。着物を着ると、しゃんとした気持ちになります。綱吉が後ろに何かを感じて立ち止まってまた歩き出すシーンがあって、指導の先生から『少し肩を落として後ろを見て』と言われたんですけど、日本舞踊をやっていたおかげで、3秒くらいでその動きができました」

 撮影で最も苦労した重い鬘も克服するに至った。

 「最初は首がバキバキに筋肉痛になって、やっていけるかな…と心配でした。でも、今は慣れて、休憩中にクッションを首に挟んで寝っ転がるという技も覚えて、とても快適です(笑)。撮影を続けて首が鍛えられたということもあると思いますけど、一番は自分の姿勢によって正しい位置に頭を乗っけられているからだと思います」

 綱吉と次第に心を通わせる大奥の右衛門佐を山本耕史、綱吉への忠誠心が強い側用人の柳沢吉保を倉科カナが演じている。

 「山本さんは時代劇の大御所なので、演じる時にとても救われました。難しいセリフの時も『あまり調べない方がいい。堅くならない方がいい』とアドバイスしていただきました。倉科さんはお芝居が凄くて、吉保が目に見えないヘビみたいで綱吉がずっと絡みつかれている感じがしました」

 自ら演じる綱吉はこれまでの役者生活で最も難度の高い役であろう。

 「それは感じます。役者として求められていることがレベルアップしていると思います。これを若い真由ちゃんがやったのが凄いと思います」

 堀田真由は以前、この作品に関するインタビューで、家光役について「日常生活でも食事が喉を通りにくくなるほど引きずっています」と苦労を明かしていた。

 「私はさっき麺を大盛りで食べました(笑)。昨夜、焼き肉を食べ過ぎて、きょうは胃もたれで薬を飲んでお芝居をしていたんですけど…。真由ちゃんに申しわけないです」

 そんなエネルギッシュさも「大奥」の映像に表れている。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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