三遊亭円楽さん「みっともなくていいから死ぬまでやる」“最後の高座”の前に語った歌丸さんへの思い

[ 2022年10月10日 19:01 ]

落語家の三遊亭円楽さん
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 10日に日本テレビ「笑点・ありがとう!円楽師匠追悼特番」(月曜後3・50、関東ローカル)が放送された。そのなかで、9月30日に肺がんのため死去した落語家の六代目三遊亭円楽さん(享年72)が“最後の高座”にかける意気込みを語る場面が公開された。

 円楽さんの晩年は、病との闘いが続いた。18年10月に初期の肺がんの摘出手術を受け、19年7月には脳腫瘍が見つかった。同年、肺がんが再発。大腸がんと診断され内視鏡手術を受けたこともあった。今年1月には脳梗塞で入院した。

 そんな数々の苦難のなかでも、円楽さんは高座復帰を諦めなかった。そこには、ある恩人への思いがあった。「僕は円楽の弟子であって、歌丸師匠の弟子だっていう気持ちがあった」。桂歌丸さんは「笑点」勇退後も高座に上がり続けた。最後は酸素吸入器を付けた状態のまま落語を続けた。文字通り、必死の覚悟で臨んでいた。

 歌丸さん亡き後、長年トリを務めてきた国立演芸場の8月中席は円楽さんに託された。生前、円楽さんは「歌丸師匠はあの体でもって、クタクタになって帰ってくる。そこまで命がけでやってくれた。生涯、それ(落語)がすべてだった」と、語っていた。

 そして8月中席、一人で立つことも座ることもままならない状態だったが、人生をかけた高座に挑んだ円楽さん。「ようやく、ここまで帰ってきました…」と大粒の涙をぬぐい「辞めちまおうと思ったね。俺ぐらいの落語家は、楽屋にいくらでもいる。でもね、みっともなくていいから、死ぬまでやります」と宣言、観客からは万雷の拍手が送られた。

 予定をオーバーする30分の熱演、自身の限界を超えた円楽さんだったが、終演後は晴れやかな表情をみせた。「不思議だね、人がいると喋る。これは性(さが)だね。これが落語家の博多じゃなくて性(佐賀)だ」と、オチを付けて笑わせた。

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2022年10月10日のニュース