美輪明宏 同性愛者であると公言、「石も投げつけられた」過去も強い信念 味方してくれた大物たち

[ 2022年10月10日 18:15 ]

美輪明宏
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 歌手・美輪明宏(87)が10日放送のテレビ朝日「徹子の部屋」(月~金曜後1・00)にゲスト出演。人生を振り返った。

 司会の黒柳徹子から「美輪さん自身は、波瀾(はらん)万丈だと思ってらっしゃるの。自分の人生は?」と聞かれると、長崎出身の美輪は「そう思いますよ。水商売のうちに生まれてね。まあ料亭とかカフェとかやってましたからね」と回顧した。

 店にはさまざまな職業の人がお忍びで訪れたが、酔って本性を現す様子を見ているうちに、「(人を職業では)信じなくなって。それから人を見る時にはその人の肩書とか性別では(見なくなって)。先ほどの(自筆の)色紙にもありましたけど、『見えるものを見ず 見えないものを見よ』。それになったんですよ」と話した。

 自宅の前はレコード店で「クラシック、ジャズ、シャンソン、タンゴの流行歌、年中かけてるんですもの。それでシャンソン歌うようになりましたね」と明かした。隣は映画館で劇場、「だから私は芝居やるようになって、演出やるようになって」。さらに中学では「フランス語が必修科目に入ってる学校だったの。だからシャンソン、歌うようになったわけ。全部おぜん立てがそろってたの」と振り返り、「女の子みたいだっていうふうに言われても、いじめられませんでしたからね。それが良かった」とも語った。

 「でも、とにかく有名になって、“メケ・メケ、バカヤロー”って歌歌って、それで中性ファッションで、ゲイであること公言して」と「メケ・メケ」でのレコードデビュー後を振り返った美輪。当時について「ゲイだって言われて、散々糾弾されて首吊って死んだ人もいたし、それで亡くなった方の死に顔見た時に、こりゃ闘わなきゃいけないって思ったのね。何一つ物を盗んだわけでもない、殺したわけでもない。人が人を愛したことの何が悪いんだって。男が女を、女が女を、男が男を、年寄りが若者を、異国人同士が愛し合っても人間同士が愛し合うことに変わりはない。殺したわけでも、盗んだわけでもないのだからって。そういう歌も(和訳して)作りましたしね」と説明した。

 「それで石も投げつけられましたよ。昔は道ばたに石が落ちてたじゃない。終戦後」との出来事もあったが、「でも平気でしたよ。(小説家の)三島由紀夫さんとかね、川端康成さんとか、江戸川乱歩さんとか、偉い方がみんな私の味方だったんです。だから胸張っていられたんです」と力を込めた。

 黒柳が「人は性別や人種や肩書で差別をするけれども、大事なのは心の純粋さだと思ってらっしゃる」と尋ねると、美輪は「人間そのものね。人間だけでいいじゃありませんか。まあいろんなことがありましたよ。いい勉強になりましたね。楽しかったですよ。幸せだったなと思いますね」としみじみと語った。

 黒柳が「石投げられたりなんかした時も、嫌じゃなかった?」と問うと、美輪は「投げ返しましたもの。石投げられっぱなしじゃなくてね。拾って投げ返しましたもの。そういう時は負けちゃいませんからね。“バカヤロー、コノヤロー”ってなっちゃうの。まあ恥ずかしい。下品でしたね。失礼しました」と苦笑した。

 黒柳が「エディット・ピアフの曲でお訳しになった曲があるんですって」と話を振ると、美輪は「さっきも言いましたでしょ」とその曲が「愛する権利」であったと明かした。歌唱するVTRを見た黒柳が「いつもそう思ってらっしゃる」と尋ねると、美輪は「ええ。歴史が証明してますからね。盗んだわけでも殺したわけでもないのだから」と力強く語った。

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2022年10月10日のニュース