近石真介さん死去 91歳 「サザエさん」初代マスオさん、「はじめてのおつかい」ナレーション

[ 2022年10月10日 05:09 ]

近石真介さん
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 アニメ「サザエさん」の初代フグ田マスオの声などで知られる声優で俳優の近石真介(ちかいし・しんすけ、本名安蔵=やすぞう)さんが5日午前8時、老衰のため東京都内の自宅で死去した。91歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は長男真人(まさと)氏。

 所属事務所によると、5日朝に真人氏が、起きてこない近石さんに声をかけに行ったところ、息をしていないことに気づき、その後、死亡が確認された。闘病などはしていなかったという。

 大学中退後、社会人を経て、劇団で舞台俳優として活動。声優の仕事も始め、1969年に始まったアニメ「サザエさん」(フジテレビ)でマスオを演じ、78年に増岡弘さん(20年死去)と交代した。米喜劇俳優のジェリー・ルイスらが出演した洋画、海外ドラマの吹き替えも幅広く務めた。

 軽妙で和やかな雰囲気を持つ声が人気で、小さな子供が買い物に行く様子に密着した「はじめてのおつかい」(日本テレビ)や、タレントが旅人となり観光地を巡る「いい旅・夢気分」(テレビ東京)などテレビ番組のナレーションも多く担当。ラジオでも存在感を発揮し、71年から放送されたTBSラジオ「こんちワ近石真介です」では約14年間パーソナリティーを務めた。

 リスナーからのはがきを紹介して近石さんがトークを展開する人気コーナー「はがきでこんにちは」は番組終了後も続き、20年9月まで放送された。このラジオが近石さんの最後の仕事となった。

 睡眠時には鼻呼吸を意識するなど、商売道具の声を何よりも大切にしてきた近石さん。「サザエさん」の初代磯野波平の声などで知られる声優の永井一郎さんとは同じ1931年生まれで「戦友」と呼ぶ仲だった。永井さんが14年に82歳で死去した時には「最後まで仕事をやれて、そりゃあ幸せですよ」と悼んでいた。事務所関係者によると「生涯現役」を誓い、最近も仕事への意欲を見せていたという。その“現役生活”は静かに幕を閉じた。

 ◇近石 真介(ちかいし・しんすけ、本名安蔵=やすぞう)1931年(昭6)1月20日生まれ、東京都出身。早大中退。53年に「歴程」で初舞台。63年に劇団東演に入団。パーソナリティーを務めたTBSラジオ「こんちワ近石真介です」は優れた放送番組に贈られるギャラクシー賞を受賞。2013年には第7回声優アワード「功労賞」受賞。

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