「鎌倉殿の13人」弁慶・佳久創 1日5食25キロ増「限界」時代劇も初挑戦「足閉じて立つ」所作に発見

[ 2022年2月27日 06:00 ]

「鎌倉殿の13人」佳久創インタビュー(上)

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で武蔵坊弁慶役を演じる佳久創(C)NHK
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 NHK「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)で武蔵坊弁慶役を演じる元ラガーマンの俳優・佳久創(かく・そう、31)が27日放送の第8回から本格登場。俳優転身から約4年、大河ドラマはもちろん、時代劇も初挑戦となった。1メートル85の体躯を誇るが、役作りのため体重を約25キロ増やし、屈強な“弁慶像”を体現。佳久に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛け、俳優の小栗旬が主演を務める大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第8回は「いざ、鎌倉」。挙兵した源頼朝(大泉洋)を討つため、追討軍を送る平清盛(松平健)。後白河法皇(西田敏行)は地図を広げ、丹後局(鈴木京香)らと戦況を占う。“坂東の巨頭”上総広常(佐藤浩市)らを味方に加えた頼朝は、鎌倉を目指して進軍。一方、従者・弁慶(佳久)らと奥州を出発した源義経(菅田将暉)は、兄・頼朝との対面を夢見て歩みを進める…という展開。

 佳久は中学3年からラグビーを始め、明大に進学。卓越したスピードを武器に7人制ラグビー日本選抜メンバーに選出されたが、3年時の11年8月、アジアラグビーセブンズシリーズの一つ「上海セブンズ」で左膝前十字じん帯を断裂。社会人のトヨタ自動車でも同じ箇所を負傷したことが致命傷となり、W杯の舞台に立つ夢は叶わなかった。

 引退後、燃え尽き切れない思いを抱え、興味のあった俳優業に挑み、18年にデビュー。ラグビーを題材にした19年7月期のTBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」で連続ドラマ初レギュラー。トキワ自動車のアストロズから日本モータースのサイクロンズに移籍するスクラムハーフ・里村亮太役を好演した。

 今回演じる弁慶は、義経に仕えた元比叡山の僧。五条大橋で運命的な出会いをして以来、義経の器量に心酔し、献身的に支える。「衣川の戦い」で仁王立ちのまま息絶えたと伝えられ「立ち往生」という言葉の由来となるなど、怪力の代名詞。歌舞伎の人気演目「勧進帳」の主人公になるなど、豪傑として語り継がれる。大河ドラマにおいては1966年「源義経」で緒形拳(義経は七代目尾上菊五郎)、05年「義経」で松平健(義経は滝沢秀明)、12年「平清盛」で青木崇高(義経は神木隆之介)らが演じた。

 大河初出演を喜ぶ一方、弁慶役には「有名な人物なので、威厳があって屈強という皆さんのイメージを壊さないように演じられるか、心配な部分もありました」。ちょうど別作品の役作りのため、体重を増やしており「普段より体は大きくなっていましたが、弁慶役ということで、さらに増やしました。自分のベストは88キロなんですが、最終的には25キロぐらい増やして115キロに。本当はもっと増やしたかったんですが、体の限界もきちゃいました。筋力も落としたらいけないので、筋トレもするんですが、カロリーを消費した分も食べないと体重が増えない。固形物だと、おなかがいっぱいになってしまうので、スムージーも取り入れました。それも1食に換算するなら、1日5食とか。僕の場合は減量よりも大変でした」と“肉体改造”した。

 収録がなければ、週3日のジムトレーニング。1日5000カロリーを目標に、食事を摂った。

 台詞こそ多くはないものの「義経のキャラクターがとても面白く描かれているので、義経と弁慶のやり取りが作品のワンポイントとして大事になる。そこを心掛けて撮影に臨みました。台本を読んで、弁慶の威厳を保ちつつ、義経との関係性がちょっとコミカルに映ったらいいなと思っていたんですが、演出の方も同じイメージで。それを共有できたのがよかったと思います」と役作り。菅田との共演には緊張していたが「菅田さんの方から『体、大きいですね』と話し掛けてくださって、コミュニケーションも取れるようになって。本当に優しい方です」と気配りに感謝した。

 弁慶のなぎなたは、自身の身長を上回る2メートル以上の長さ。「他の方のなぎなたより断然長かったので、皆さんにぶつけないように立ち回る殺陣は難しい部分もありました。自分より手数の多い殺陣のシーンも、菅田さんは3~4回(稽古を)通しただけで覚えてしまって。自分も体を使うことには自信があったつもりなんですが、『これがプロなんだな』と実感しました」と菅田の俳優としての身体能力に驚いた。

 時代劇も初挑戦。力強く映るための所作指導を受け「弁慶の立ち姿は、足を広げたらダメ。むしろ、足を閉じて立っていないといけないんです。手も開くんじゃなく、握り拳。足元のアップの時は足の親指を上げたり『こんなところにまで気を付けているんだ』と発見がたくさんあって、非常に勉強になりました」。今回の経験が血となり、肉となる。

 義経・菅田&弁慶・佳久の旅がいよいよ始まる。

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