元祖テニス少女漫画「スマッシュをきめろ!」志賀公江さん「スポ根は私の生涯のテーマ」

[ 2020年1月27日 17:18 ]

東京都江東区の森下文化センターでマンガ講座を行った「スマッシュをきめろ!」の作者、志賀公江さん
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 スポ根少女テニス漫画の元祖「スマッシュをきめろ!」の作者、志賀公江さんが26日、東京都江東区・森下文化センターのトークイベントに登場した。名編集者の綿引勝美さん(メモリーバンク社代表)を聞き役に、同所が昨秋から開催中の「スポーツマンガ講座」の第2回。昨年10月に予定していたが、台風19号の影響で順延されていた。

 「スマッシュをきめろ!」は1969~70年に週刊マーガレット(集英社)で連載された本格テニス漫画。少女漫画に“スポ根”の要素を持ち込んださきがけと評価されており、志賀さんは「当時はテニスが(上皇后)美智子さまに代表される上品なイメージから、普通のスポーツに変化していく過渡期だったように思う」と、スポ根漫画として受け入れられた背景を分析した。

 デビュー3年目の作品で、マーガレット編集部から「スポーツを題材にした漫画を描いてほしい」とオファーされたのが、執筆のきっかけ。テニスを題材としたのは「中学、高校と軟式テニス部に所属していたため」という。

 スポーツ描写とともに、姉妹や家族の相克など精神的なテーマを掘り下げたストーリーで少女たちを引きつけ、「コートにかける青春」との題名で71年にフジテレビでドラマ化。紀比呂子、森川千恵子が主役の姉妹を演じた。

 志賀さんはスポーツ漫画だけでなく、80年代以降は、ホステスの世界を描いた「虹子ララバイ」などレディースコミックでも活躍。「“スポ根”的なものは私の一つのテーマ。『虹子』も夜の町を舞台に、スポーツマンシップに則ったような戦いを描いた。戦いが終わればノーサイド。女同士のドロドロは一切なかった」と振り返った。

 この日は、少女漫画黎明期の伝説的同人誌「墨汁二滴」を持参。少女漫画黎明期の伝説的同人誌で、デビュー前の志賀さんのほか西谷祥子さんらが名を連ねている。故石ノ森章太郎氏が中心になって発行された「墨汁一滴」の女性漫画家版。石ノ森氏も発行に携わっており、石ノ森氏が手がけた表紙や、故赤塚不二夫氏の直筆目次などが披露され、会場から驚きの声が上がった。

 志賀さんは「石ノ森先生が“こうやって作るんだよ”って直々に教えてくださった。次世代の後輩漫画家に愛情を持って育ててくださり、慈しんでくださった」と懐かしんだ。

 現在は、東京・浅草の国際通りで建設中のビルの養生壁を覆う絵の画像データ制作に取り組んでいることを明かした。「虹子ララバイ」の虹子を描いた幅約10メートル級のものとなるそうで、「包丁人味平」のビッグ錠さんの“養生壁画”とともに公開予定という。

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