中村武志氏 ヤクルト・村神様に“リスク低い”外角低めは通用せず

[ 2022年10月14日 05:20 ]

セCSファイナルステージ第2戦   ヤクルト5-3阪神 ( 2022年10月13日    神宮 )

<ヤ・神>3回、村上は逆転となる2ランホームランを放つ(投手・藤浪)(撮影・椎名 航)
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 【中村武志 視点】村上が3回に藤浪から左翼席に放った逆転2ランは、外角の直球だった。それも、低めいっぱいでボール自体は良かったものの、低めが好きなローボールヒッターの村上には危険な球だった。最も遠いゾーンの外角低めに投げればホームランを防げるという、セオリーは通用しない。

 得意ではない内角高め、もしくは外角高めに投げた方がリスクが少なく、低かったからダメだった。村上もフルカウントで強振せずにコンパクトに打った。ただ、ほぼ当てただけで逆方向に運んだ打球があそこまで飛ぶとは驚きのパワーだ。狭い神宮球場も知り尽くしているし、打った方が凄いと言うしかない。

 中日のバッテリーコーチとして対戦した昨季までの村上はある程度、相手バッテリーの配球を読んで打っていた。本塁打王に輝き、自信をつけた今季は配球を読むだけでなく、対戦投手の一番速い球にタイミングを合わせ、変化球にも対応できている。対応力が上がったから、56本塁打を打つことができた。

 藤浪は制球力がない方ではあるが、この日は投げっぷりも含めて良かった。ただし、強打者を抑えるために必要なことは内角高め付近を厳しく攻めて、外角球に踏み込ませないこと。しかし、藤浪には内角に投げ切るコントロールがない。

 第1打席はフルカウントから歩かせた。同じ四球でも内角を攻めて崩すことができれば効果はあるが、この四球にはあまり意味がなかった。捕手の立場からすれば、内角の制球が甘くなった時の「万が一」を考えると、どうしても外角中心の配球になってしまう。村上も狙いが絞りやすく、フルカウントでなおさら内角には来ないと思ったはず。ストライクゾーン内に来た外角球を見事に仕留めた。

 ≪最も打率高い真ん中低め.538≫低めが得意な村上はレギュラーシーズン中、ストライクゾーンの真ん中低めは最も打率が高く、.538、9本塁打のハイアベレージを残した。この日、藤浪から打った外角低めも.313、2本塁打を放っており、相手バッテリーから見れば「セーフティーゾーン」ではなかった。一方で、外角高めはストライクゾーン内では.250と最も低かった。

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2022年10月14日のニュース