初の10勝 中日・小笠原を支えた“人体実験” 毎日同じメニューの食事で体調管理

[ 2022年10月14日 08:00 ]

中日・小笠原
Photo By スポニチ

 6年ぶりの最下位に沈んだ中日にあって、着実にエースの階段を上っているのは小笠原慎之介投手だ。高卒7年目の今季は10勝8敗、防御率2・76と先発陣の中で唯一の勝ち越し。最終戦で2年連続の規定投球回をクリアし、自身初の2桁勝利も達成した。

 最終戦での規定投球回到達は昨年と同じだが、今年は意味合いが違う。3月29日の本拠地開幕DeNA戦で黒星を喫し、2日後に新型コロナ感染が判明。約1カ月間、戦列を離れた。復帰後もなかなか波に乗れず、球宴前までは4勝6敗、防御率3・58と苦しんだ。それでも後半に調子を上げ、9月は4勝の大活躍。奪三振はリーグ2位の142個と、離脱がなければ初タイトルも狙える快進撃だった。

 勝負所の後半に盛り返してこれたのは日頃のトレーニングはもちろん、ストイックな体調管理のたまものだと思う。今年のシーズン中は朝晩の食事はほぼ同じメニューを食べ続けていたという。

 「ずっと朝晩はステーキと米とサラダと味噌汁。ほぼほぼ毎日です。投げる前日と投げた日だけは自分にご褒美をあげようかなと思って、好きなもの食べていますけど、それ以外は基本的に同じものを食べています」

 ホームで試合の時は自炊。肉は牛肉中心で鶏や豚の日もあり、1食あたり約200グラム摂る。味付けも塩こしょうや、トリュフ塩といったシンプルなものが多いが、飽きることはないという。

 誰かに助言されたわけではなく、独学でたどり着いたメニュー。「自分のコンディションのためにやっている。昨年より今年の方が体の状態も良いですし。動きも良いし疲れもすぐになくなる。ある意味人体実験ですね」と笑う。

 確かに肉でタンパク質、ご飯で糖質、サラダでビタミンや食物繊維を摂取し、栄養素の吸収を高める発酵食品の味噌も含まれているため、バランスは良さそうだ。登板後にご褒美で食べる大好きなスイーツもモチベーションの一つになっていたのだろう。

 意識が高い小笠原はキャリアハイとなった今季の成績も「単なる通過点」という。物足りなさを感じているのは18年を最後に完投がないことだ。

 「大野雄さんと柳さんは完投している。ぼくだけしていないのはすごく悔しかった。来年は何としても自分が一番完投してやろうと練習している。休んでいる暇はありません」

 10日からナゴヤ球場で始まった秋季練習でも動きの良さが目立つ。ストイックな姿勢で来年はタイトルを食いまくってくれるのではと期待している。(中澤 智晴)

続きを表示

2022年10月14日のニュース