阪神 今季初サヨナラ勝ちで「こどもの日」6連勝 3安打3得点の近本「巻き返したい」

[ 2022年5月6日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-2ヤクルト ( 2022年5月5日    甲子園 )

<神・ヤ>ファンの声援に応える近本(撮影・北條貴史)
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 阪神は5日、ヤクルト戦で今季初のサヨナラ勝ちを収めた。連敗を2で止め、「こどもの日」は15年から6連勝となった。立役者は近本光司外野手(27)。3安打3得点と躍動し、チーム全得点を記録した。これで5月は4試合で月間打率・500に上昇。5月5日に限ると通算打率・545を誇る猛虎の背番号「5」が、聖地を埋め尽くしたキッズに歓喜を届けた。

 劇勝を信じて沸き立つ聖地の中で一人、近本は冷静だった。同点で迎えた9回。先頭打者として打席へ歩を進めながら「風があるので、逆方向に打とう。投手は大西。こういう球で来たら、どうやって打っていこう…」と思考を巡らせていた。

 ここまでの4打席で2安打2得点。出した答えは「バットに当てれば何とかなる」。果たして初球を果敢に叩いた打球はワンバウンドで三塁・村上の頭上を越え、左前へ。この一打が劇勝につながった。2死満塁から山本の押し出し四球でサヨナラ生還。全3得点を一人で記録し、全身で喜びを表現した。

 「3連戦で1勝もできずに帰ってもらうのは悔しい。何としても勝たないと…と思っていた」

 試合後のお立ち台。勝利を信じてスタンドを埋め尽くした幾多の子どもたちに、満面の笑みで報告した。その近本、少年時代は「こどもの日」にプロ野球観戦に行ったことがなかったという。「祭りがあったので祭りに行っていました」。約20年後、自らが甲子園を“お祭り騒ぎ”にするとは、思ってもみなかったに違いない。

 新型コロナウイルス流行の影響で開幕が遅れ、試合開催がなかった20年5月5日。近本はファンにある約束をした。「来年、21年5月5日の試合で5安打を打つ」。19年にセ新人最多安打記録を樹立した「背番号5」だからこそできる粋な公約だった。その21年はヤクルト戦で2安打に終わり試合も引き分け。不完全燃焼な中、今年は3安打3得点でチームは勝利。2年がかりで「5安打」を積み上げてみせた。これで端午の節句は通算11打数6安打、打率・545と大当たり。5月の月間打率も4試合で18打数9安打、・500とした。派手な数字が並ぶが、本人は上しか見ない。だからこそ、結果が伴わないと苦しくなることも当然ある。

 「そりゃ叫びたい。バットも投げたいし、ヘルメットも投げたいですけど、それをしたところで打てるかと言ったらそうではない。“仕方ない”と思うようにしている」

 6日からは前回3連敗を喫した敵地での中日戦。「巻き返していきたい」。力強く少年少女に誓った近本。男に二言はない。(八木 勇磨)

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