阪神 9回2死、佐藤輝からミラクル5連打! シフト破った代打初安打「もう無我夢中」 矢野監督も泣いた

[ 2021年7月13日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4ー3DeNA ( 2021年7月12日    甲子園 )

<神・D(13)>9回、マルテの同点適時打にベンチ前で雄たけびを上げる佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 テルからミラクル! 阪神は12日のDeNA戦で、大逆転サヨナラ勝ちを収めた。0―3と敗色濃厚の9回2死一塁から、今季3度目のベンチスタートだった代打・佐藤輝明内野手(22)が内野シフトを破る中前打。そこから一気の4連続タイムリーでひっくり返した。ナインが一丸となった劇的な展開に試合後、矢野燿大監督(52)は大粒の涙。きょう13日のDeNA戦に勝つか引き分けで、13年ぶりの前半戦首位ターンが確定する。

 あまりにもドラマチックな幕切れは、この男の一打からだった。0―3の9回2死一塁。佐藤輝がプロ3度目の代打で初安打を放った。一、三塁に好機を広げ、そこから4連続でのタイムリー。逆転サヨナラをベンチで見届けると、一目散に歓喜の輪に加わった。

 「もう無我夢中で、しっかり食らいついて。シフトの間を抜けてくれてよかったです」

 チームは10日巨人戦から8回まで、今季最長の20イニング連続無得点が続いていた。土俵際に追い込まれた中で迎えた打席。三嶋に2球で追い込まれながらも3球目、外角に沈むフォークをうまく拾った。二塁ベース後方付近に遊撃手が就く変則シフトを敷いた、DeNAの三遊間を破る中前打。代走・江越を送られると、球場中から万雷の拍手が送られた。

 11日までの巨人3連戦で9打数1安打に終わるなど、下降線をたどっていた。この日はロハス・ジュニアにスタメンを譲る形で、今月2日広島戦以来、今季3度目のベンチスタート。8回まで出番は訪れず、9回も3者凡退ならプロ入り初の出場なしだった。それでも1死から梅野が出塁。次打者席に姿を見せただけで聞こえてきた大歓声に、最高の結果で応えてみせた。

 「(安打が勝ちにつながったが)それがもう一番大きいですね。価値あるヒットになったと思います」
 希望をつなぐ一打に、全員が勇気をもらった。近本、糸原、マルテ、そして大山。チーム一丸でつかみ取った勝利に、矢野監督は涙が止まらなかった。

 「いや…。感動しています。本当に一人一人が……。全員の気持ちだと思います。1年間の中でいろいろありますけどね、僕としては勝てない中でもやりきってくれていたのはすごくうれしかったですし、その中でも結果が……」

 巨人との最大8差が、みるみる縮まる日々。誰もが苦しみ、指揮官自身も重圧にさらされているのは想像に難くない。そんな中で見せた、最後まで決して諦めない全員野球。就任以来掲げ続けたイズムが体現されたのだから、感情があふれ出るのも無理はなかった。

 「(残り2試合に)つなげないとね。つながるだけの価値のある勝ち方ができたと思うし、残り2戦しっかり戦っていきます」

 きょうの試合に勝つか引き分けで、13年ぶりの前半戦首位ターンが確定する。“最幸”の1勝を手に、悲願成就へ再加速する。(阪井 日向)

《9回2死からの4者連続適時打はセ初》セで4者以上の連続適時打で一気にサヨナラ勝利は18年8月19日中日戦で巨人が1―5の9回1死から5者連続適時打で6―5と4点差を逆転して以来2度目だが、2死から続けたのは阪神が初めてだ。

《矢野監督、涙のサヨナラ勝ち》19年6月9日の日本ハム戦、3―3の9回2死二、三塁。大腸がんから復帰した原口が代打で中前にサヨナラ適時打。試合後、インタビュールームに現れた矢野監督はすでに感涙。「感動しましたね、めちゃめちゃ感動しました」「勝って泣いたことないんだけど…」「もう最高です。きょうは味わわせてください」と気持ちを抑えきれない様子だった。

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