元西武 野田昇吾氏 ボートレーサー転身 20キロ減量「身長が低い人たちの希望になれれば」

[ 2021年7月13日 07:00 ]

合格通知を手に笑顔の野田氏(本人提供)
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 昨季限りで現役を引退した元西武投手の野田昇吾氏(28)が、ボートレーサーに転身することが12日、日本モーターボート競走会から発表された。昨年11月に球団から戦力外通告を受け、12月の12球団合同トライアウト受験後に現役引退を決断していた。6月中旬に行われた選手養成訓練入所試験を突破し、10月から福岡・柳川の養成所に入所。来年10月以降のデビューを目指す。

 現役時代は1メートル66、71キロの体格で強打者に立ち向かい、通算144試合に登板した野田氏が、今後は小柄であることを武器に、新たなステージに立つ。

 「身長が低い人しか目指せないスポーツ。もう一度、プロスポーツ選手として活躍したいと思いました」

 貴重な中継ぎ左腕として18、19年に西武のリーグ連覇に貢献した野田氏は昨年12月の12球団合同トライアウト後にオファーがなく、現役引退を決断。身長1メートル75以下、男子は47~57キロと、細かい条件が定められているボートへの道に進むため、すぐに減量に取り組んだ。

 ほぼ毎日ランメニューと体幹トレを敢行。サウナでは12分5セットで全身から汗をかき、4月末には51キロまで絞った。その間、3月26日の本拠地メットライフドームでの開幕戦も観戦したが、あまりの「変身」ぶりに、西武ファンからも気づかれなかったという。

 野田氏を再びプロスポーツの世界へと引き戻させたのが、児童福祉への思いだ。生後7カ月で、突然の高熱が数日間続く川崎病を発症。大事には至らなかったが自らの経験もあり昨年、埼玉県立小児医療センター内の家族宿泊施設「さいたまハウス」への寄付に参加。1登板ごとに5000円を寄付する予定だったが、わずか3試合の登板に終わり「思うようにできず、納得できなかった。プロスポーツ選手してやることによって影響力があると思う」と思いを明かした。

 プロ野球選手が引退後、格闘技やゴルフへ転向するケースは少なくない。西武では同じく、昨季限りで戦力外となった元投手の相内誠氏が今年2月に格闘家としてデビューしたが、厳密な体格制限のあるボートレーサーへの転身は極めて異例。元阪急の早瀬薫平(阪急時代の登録名は早瀬猛)以来2人目となる。

 「いつまでも身長が低い人たちの希望になれればいい。ボートレーサーになって盛り上げたい」と野田氏。まずは来秋のデビューへ向け、厳しい養成所での訓練を乗り越える。(花里 雄太)

 《球界から他競技転向》元巨人投手の馬場正平は退団翌年の60年にプロレスラーに転身。63年からはジャイアント馬場のリングネームで活躍した。尾崎正司(後の将司)は67年に西鉄退団後、70年にゴルフのプロテスト合格。ジャンボの愛称で国内ツアー94勝を挙げている。最近では元西武の木村昇吾が17年、クリケットに転向。DeNAを昨年退団した石川雄洋は5月にアメフトの相模原ライズに入団した。ボートレースと同じ公営競技では、競輪に転向した松谷秀幸(元ヤクルト)が09年にデビュー。現在はトップクラスのS級1班で活躍中だ。

◇野田 昇吾(のだ・しょうご)1993年(平5)6月27日生まれ、福岡県糸島市出身の28歳。鹿児島実では2年夏、3年春に甲子園出場。西濃運輸を経て15年ドラフト3位で西武入団。17年秋にU24日本代表に選出され、アジアチャンピオンシップ優勝に貢献。プロ通算成績は144試合登板で4勝1敗1セーブ、30ホールドポイント、防御率3・09。左投げ左打ち。

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