さらば虎のヒーロー 阪神・鳥谷、日本S進出かなわず終戦「新しい野球人生で頑張ります」

[ 2019年10月14日 05:30 ]

セ・CSファイナルS第4戦   阪神1―4巨人 ( 2019年10月13日    東京D )

9回2死、ニゴロに倒れて最後の打者となる鳥谷(撮影・坂田 高浩) 
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 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)は13日にセ・パ両リーグで第4戦が開催され、阪神は巨人に敗れて5年ぶりの日本シリーズ進出の夢が断たれた。同時に、今季限りでの退団を表明している鳥谷敬内野手(38)の、猛虎戦士としての16年間が幕を閉じた。

 1―4の9回2死走者なし。球場中から歓声を浴び鳥谷は打席に向かった。誰もが目に焼き付ける中、代打として二ゴロに倒れて試合終了。下克上という野望は打ち砕かれ「阪神・鳥谷」の16年が終わった。

 「打席にも立たせてもらいましたし、16年間、この球団で自分というものをつくってきたので。感謝しかないですね」

 矢野監督が「そういうことで出しているわけじゃなくて」と説明したように最良の策として送り出された。今季限りでの退団を表明してから始まった快進撃。鳥谷と1日でも長く―。いつしか合言葉となり、やがて奇跡は起こった。「負ければ9月30日で終わりだった。2週間も長くタイガースのユニホームを着させてもらって、ありがたい」。結束した想いに、普段はクールな男の心は震えた。

 遊撃の出場機会が減少した16年は転機だった。ポジションを争った北條がミスすれば「メシ行こうか!」と誘い出し、まずは数分間のアドバイス。その後は他愛もない話で笑い飛ばした夜もあった。根底には「自分でコントロールできないことに力を使っちゃダメ」という考えがある。起用法に感情を左右されてはならない。後輩の肩の力を抜き、背中を後押しした。

 本拠地のナイターゲームでは試合開始7時間前に球場入り。いかなる時でも最善の準備を尽くす姿に、多くの若手が追随するようになった。全体練習前の長時間のランニングや試合約2時間前の短時間睡眠。食事法、トレーニング法、ロッカーに並ぶサプリメント…。「すごい」「かっこいい」「トリさんみたいになりたい」―。ルーティンを真似する選手は数え切れない。

 背中で示しても、考えを強要することは決してなかった。「人によって感じ方は違うから。“自分はこうだったよ”と言うことはできるけど」。思い詰めた若手が最後に訪れるのは決まって、鳥谷のもとだった。

 試合後、「これからどうなるか分からないですけど、自分のやってきたことを信じて新しい野球人生で頑張ります」と現役続行の意思を改めて示した。獲得調査を行っているDeNAなど他球団への移籍か、それとも…。有形無形の多大な財産を残して、タテジマの背番号「1」を脱ぐ。(巻木 周平)

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