日本ハム・田中賢 強い絆で結ばれた父と息子

[ 2019年10月14日 09:00 ]

田中賢介内野手の父・義文さん(左)と母・邦子さん
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 緊張をほぐすためなのか、少しお酒が入った赤い顔をしていた。日本ハムの今季最終戦だった9月27日のオリックス戦。田中義文さん(71)は邦子夫人(68)とともに息子・賢介(38)の引退試合を観戦するため、当日の朝に福岡を出発し、札幌ドームに駆け付けた。

 9歳年上の長男の影響を受けて小学2年から野球を始めた次男の田中賢。学生時代などに野球経験のない義文さんは技術指導を行うことはなく「自分は息子に何もしてないですよ。自由主義ですからね」と謙遜するが、しっかり人間教育は施した。事あることに言い聞かせた言葉は「逃げるな。正直に生きろ。努力していれば、必ず壁は乗り越えられる」。息子は、その言葉を常に人生の指針として歩み、プロ入り後も心の支えとした。

 日本通算1499安打となる2安打を放って有終の美を飾った試合後のセレモニー。スポットライトを浴びて気丈に惜別の言葉を語っていた田中賢は、両親への感謝の思いを語る際に言葉に詰まり、大粒の涙が頬を伝った。「僕を生み、育ててくれた両親。小学校2年から野球を始め、31年間、僕の一番のファンでいてくれました…」。その後の囲み取材では全盛期だった13、14年にメジャーに挑戦しながらわずか8安打に終わった2年間についての話題となり「昔から言われてきた父の言葉があったから、迷うことなく(米国に)行くことができた。失敗だったのかもしれないけど、必ずこの先の人生にプラスになる」と感謝した。

 義文さんに「息子さんに伝えたい言葉は?」と問うと「ご苦労さま。今まで感動をありがとう。第2の人生も頑張ってもらいたい、ですかね…」と返ってきた。父と息子。九州男児でもあり、お互いに面と向かって多くを語ることは少ないが、強い絆で結ばれている。(記者コラム・山田忠範)

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