侍J 力負け…動く球に対応できず 中田「メジャーの選手は素直に凄い」

[ 2017年3月23日 05:30 ]

WBC準決勝   日本1―2米国 ( 2017年3月21日    ドジャースタジアム )

<日本・米国>8回2死一、二塁、後方の中田がガッツポーズするも、右飛に倒れる筒香
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、準決勝1試合を行い、侍ジャパンは米国に1―2で今大会初黒星を喫して決勝進出を逃した。1次、2次ラウンドで打ち勝ってきた打線が米国の投手陣の前にわずか4安打と沈黙。筒香嘉智外野手(25=DeNA)、中田翔内野手(27=日本ハム)はともに無安打に終わった。2大会連続の準決勝敗退。世界一奪還はかなわず、失意の侍ジャパンは23日に帰国する。

 言葉を失う選手たち。小久保監督はしばらく腕を組んで動けなかった。世界一重たい1点。その点差は現状では埋められない米国との力の差だ。「ホームが遠かった。1点が遠かった」と話した指揮官はこう続けた。

 「あれだけの選手たちがなかなか芯で捉えられない。メジャークラスの動くボールの対処は難しいと感じた」

 雨中決戦。初回無死一塁から菊池が犠打で送ったのも、コールドゲームも想定して先手を取るためだった。しかし、先発ロアークの特徴であるツーシームは鋭く、重い。変化の幅も想定以上で、その球に絞っても凡打を繰り返した。5回以降は速球派、カットボーラーら特徴あふれる救援陣の継投に自分の打撃をさせてもらえない。1点を追う8回2死一、二塁。「USAコール」と「ニッポンコール」が飛び交う中、頼みの4番・筒香はサイドスローの変則右腕ニシェク(フィリーズ)の前にタイミングを外され、右飛に倒れた。

 青木、筒香、中田のクリーンアップは無安打。2度の得点圏で凡退した4番は「打てなかったのは僕の技術不足」と責任を背負った。5番の中田は「メジャーの選手は素直に凄いと思った。ツーシームをあれだけ動かせるピッチャーは日本にはいない。勝利に貢献できず情けない。本当にこういう結果で申し訳ない」と完敗を認めた。2次ラウンドまで6戦全勝で10本塁打、46得点。平均7・7得点で打ち勝ってきた自信は、小久保監督が「(2次ラウンドまでの投手よりも)威力やスピードがワンランク上だった」というメジャーの投手たちに打ち砕かれた。

 得点は菊池のソロのみでわずか4安打。06年の第1回大会から最少だった。決勝点を許した8回は失策にはならなかったが、三塁・松田のファンブル。1点もやれない重圧はミスを誘発した。個の戦いで劣勢を強いられ、守り勝ってきた緻密さまでが揺らいでしまった。

 試合終了後。ロッカールームで開かれた最後のミーティングで小久保監督は「敗戦は監督の責任。胸を張って帰ろう」と呼びかけた。東京五輪は3年後、次回WBCは4年後に控える。各選手が個の強さを身につけるにはどうしたらいいか。指揮官は「動くボールへの対応はずっと言われていますが、ただ(日本の)リーグがフォーシーム(直球)主体。どこで訓練するのか」と問題提起した。今後、球界全体で取り組む課題でもある。

 メジャーリーガーの参加は青木だけ。投打で期待された大谷(日本ハム)も故障で辞退した。ベストメンバーではない中で、一体感を武器に戦ってきたが、世界は甘くなかった。筒香は「足りない部分、新しい発見、感覚。大会を通じて新たに成長できるチャンスをいただいた。国を背負って戦うことは見ている方や子供たちに夢、生きる活力を与えること」と目線を上げた。1点の重みを味わい、新たな覚悟が芽生えた。 (倉橋 憲史)

 ≪4安打は4大会最少 中軸3人無安打は31戦目で初≫日本が13年に続き準決勝で敗退した。準決勝の米国戦は打線がわずか4安打。09年1次ラウンド中国戦の5安打を下回る日本最少で、3〜5番の中軸3人が無安打に倒れたのは通算31試合目で初めてだ。ただ菊池の本塁打で日本は今大会11本目。06年の10本を上回り最多となった。

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