またまた「清宮劇場」納得の2安打&守備、走塁でも魅せた

[ 2015年8月14日 05:30 ]

<広島新庄・早実>3回1死一、三塁、早実・清宮は右前適時打を放つ

第97回全国高校野球選手権第8日・2回戦 早実7―6広島新庄

(8月13日 甲子園)
 打って、守って、走っての「清宮劇場」だ。早実(西東京)は2回戦で広島新庄に7―6で競り勝ち、10年以来、5年ぶりの16強に進出した。注目のスラッガー、清宮幸太郎内野手(1年)は3回に先制適時打を放つなど4打数2安打1打点。一塁守備でも頭脳的なプレーでピンチの芽を摘み、攻守でマルチぶりを発揮した。早実は、15日の大会第10日の第1試合で東海大甲府(山梨)と対戦する。

 激戦を制した清宮は一塁のポジションから、マウンドの同じ1年生・服部に抱きついた。4万4000人で埋まった甲子園の歓声が気持ちいい。「きょうは、もちろん加藤さん。そりゃそうです」とお立ち台を4安打の主将に譲った怪物スラッガーだが、試合後は気持ちの高ぶりを抑えられなかった。

 「甲子園が楽しい。不思議な力をもらえる。自分の世界をつくれているのが面白い」

 この日も「清宮劇場」だった。初回、「気持ちが入り過ぎた」と1死一塁から左腕・堀のスライダーに空振り三振。「何しに来たんだ」と言い聞かせ、3回1死一、三塁で同じスライダーを右前に先制適時打を運んだ。「難しい球に合わせるのも自分の打撃。力だけではやっていけない。技術あってこそのバッティング。直球を待っていたけど、変化球が来たので(バットを)ポンと出した」。5回にも先頭で同点劇の口火を切る左前打。納得の2安打だった。

 守備でも、頭脳プレーを見せた。6―5の6回無死一塁で相手のバントは一塁前への小飛球に。清宮はあえてワンバウンドで捕球し、一塁ベースカバーに入った二塁手の富田に送球して1アウト。そこから一塁走者を挟殺し併殺を完成させた。

 実は試合前、報道陣とこんなやりとりがあった。「広島新庄の小技に対し、わざとワンバウンドにして併殺するようなプレーも狙うのか?」との質問に、清宮は「一個一個アウトを取ります」と答えた。ところが、そのチャンスが実際に訪れ「なんか急にやりたくなって」と本能のままに体が動いた。「欲出して変なことすると怒られる」と言いながら「はまって良かった」とうなずいた。

 6回1死一塁から2試合連続の死球で出塁すると、続く加藤の中前打では三塁へ全力疾走した。初戦の試合後、無気力な走塁を副主将の渡辺に「今度しっかりやらなかったら覚えとけよ」と怒られたそうで、同じミスは繰り返さなかった。

 打って、守って、走って、あと欲しいのは…。8回の第5打席は痛烈な投直となったが、その打球速度に球場がどよめいた。待望の初アーチへ「このままいけば…」と言いかけて「ヒットの延長で入ればいい」と言葉をのみ込んだ清宮。怪物スラッガーは甲子園を存分に楽しんでいる。 (松井 いつき)

 ▼広島新庄・堀(清宮について)外角のスライダーについてきた。他の人と違う。

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