岩隈、トレードの覚悟までした34歳ノーヒッター「言葉出ない」

[ 2015年8月14日 05:30 ]

<マリナーズ・オリオールズ>ノーヒットノーランを達成した岩隈はチームメートと抱き合って喜ぶ

ア・リーグ マリナーズ3―0オリオールズ

(8月12日 シアトル)
 やったぜ、クマ!マリナーズの岩隈久志投手(34)が12日(日本時間13日)、本拠地でのオリオールズ戦で無安打無得点を達成した。3四球を与えたものの、1併殺を含む内野ゴロ11、フライアウト8、7奪三振、116球で、日本人投手では2001年の野茂以来2人目(3度目)の快挙。今季メジャー4度目となったが、DH制のア・リーグでは3年ぶりとなった。日米通じて初めてのノーヒットノーラン達成でメジャー初完投初完封。今季4勝目で日米通算150勝にも王手をかけた。

 岩隈は9回、バックの好守備に奮い立った。先頭・ロウのファウルフライを三塁手シーガーが背走し、フェンス際でポケットキャッチ。グラブを叩いて喜びを表すと一層、ノーヒッターへの思いが強くなった。「これは狙ってしっかりいかなきゃいけない」。あと1死までこぎ着け、116球目。この日最速タイの92マイル(約148キロ)でパーラを中飛に抑えた。ガッツポーズをつくった右腕は歓喜の輪にのみ込まれ、ジャンプで喜びを分かち合った。

 「何か(最後は)一番燃えた気がします。こんなことはできると思っていなかったのでね。言葉が出ない、本当に何て言ったらいいか分からないくらい。本当にうれしいという気持ちしかない」

 メジャー自己最多の118球を投げ3勝目を挙げてから中4日。序盤は変化球で丁寧にコーナーを突いた。4回からは一転、高めの直球系を増やし、強打のオ軍打線を幻惑。象徴的だったのは正念場の7回だ。3番ジョーンズを変化球で追い込み最後は外角への直球で中飛。13年2冠王(本塁打、打点)の4番デービス、5番パレーデスはいずれも高めの直球で追い込んで最後はフォークで空振り三振、二ゴロに抑えた。「速いボールを投げて満足という世界ではやっていけない。いかにコントロールでアウトを取っていくか」。岩隈らしいゴロアウト11に加えてフライアウトも8。9回11奪三振と剛球でねじ伏せた01年の野茂とは違う緩急と制球のスタイルで、日本人14年ぶりの快挙を達成した。

 前半戦は右広背筋を痛めて故障者リスト入り。2カ月以上戦列を離れ7月6日に復帰したが、昨季15勝を挙げた実績からトレード市場での動向の方が注目された。ウエーバーを経ないトレード期限直前の7月29日。本拠地でのダイヤモンドバックス戦後、ツインズ戦のためのミネソタへの移動の際に「もしかしたらと思って、少し片付けました」とロッカーを整理したほどだった。だが、マ軍は他球団の申し出を断り、残留させることを決定。今オフ、フリーエージェント(FA)になる右腕にロイド・マクレンドン監督は「自分に決定権はないが、意見は言うつもりだ」と残留を強く希望するなど、チームに欠かせない存在である。

 野茂の01年の無安打無得点以降、日本人のメジャー先発はこの日の岩隈で1117試合目。DH制採用のア・リーグでは3年ぶりの快挙を、まどか夫人ら家族も見守った中で成し遂げた。「プロに入るときは一度はしてみたいなという思いはもちろんあった」。ダルビッシュ、田中らを差し置いて、岩隈が歴史の1ページに名を刻んだ。

 ▽岩隈 久志(いわくま・ひさし)1981年(昭56)4月12日生まれ、東京都出身の34歳。堀越からドラフト5位で2000年に近鉄に入団。04年に15勝を挙げ最多勝。05年から楽天でプレーし、08年は21勝4敗、防御率1.87で最多勝、最優秀防御率などのタイトルを獲得し、パ・リーグMVP、沢村賞に選出された。フリーエージェント(FA)宣言して12年にマリナーズに移籍。1年目に9勝5敗。13年は14勝6敗で昨季は15勝9敗。1メートル91、95キロ。右投げ右打ち。家族は、まどか夫人と1男2女。

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