阪神・狩野 代役3番V弾 福留“休養日”6戦目で初勝利

[ 2015年8月14日 05:30 ]

<神・中>8回2死、狩野は左越えソロを放ち雄叫び

セ・リーグ 阪神4-1中日

(8月13日 京セラD)
 日替わりヒーローで真夏の快進撃だ。阪神は13日の中日戦(京セラドーム)に4―1で勝利して5連勝。この日、お立ち台に立ったのは狩野恵輔外野手(32)だ。1―1の8回に決勝の3号ソロ。貯金は7、2位のヤクルトにも2・5ゲーム差とし、一気に混セを抜け出す気配が漂い始めた。

 狩野が、お立ち台から先発の秋山に頭を下げた。登板中の3打席の凡打が申しわけなかったからだ。今やチームを支える代打職人に、元捕手の顔がのぞいた瞬間だった。

 「去年ずっと一緒にファームにいて、頑張っている姿を見てきた。投げている時に打たないといけませんでした」

 個人の成績よりも、チームの勝利を何よりも喜ぶ男。だからこそ、8回の決勝弾は感情を爆発させた。「こういうことはあまりないので、本当に興奮しましたね」

 1―1で迎えた8回2死走者なし。2番手の又吉に2ボール2ストライクと追い込まれたが、2球ファウルで粘りフルカウントからの8球目を仕留めた。やや甘く入った真ん中のスライダーを左翼席へ。7日のDeNA戦に次ぐ3号ソロで、打った瞬間と一塁を回る際の2度、「ヨッシャー」と雄叫びをあげた。

 試合前練習での工夫が実を結んだ。手首が返りやすい課題を修正すべく、あえて手首が返りやすいバットでフリー打撃に臨む。楕円形のグリップからなる一品は、こねてしまう悪癖を意識するにはもってこいだ。プロを15年間生き抜いてきたその経験が、逆転の発想を生んだ。又吉が投じたスライダーを引っ張り過ぎなかったのは、地道な努力のたまもの。手首が早く返らず、リストを効かすことができたからこその一発だった。

 「たまに出る選手が頑張る姿を見せられないと、チームは一丸になることができませんから」

 前夜の坂に続く日替わりヒーローは、独特の狩野節で一体感を強調した。5年ぶりとなる長期ロード5連勝。それ以上に大きかったのは、福留に積極的休養を与えた中での1勝だろう。和田監督が言う。

 「孝介を休ませて負けるとなると、休ませづらくなってしまうから」

 これまでチームは福留がスタメンから外れた過去5試合を、いずれも落としていた。ましてや相手先発は天敵・大野。福留の代役として「3番・右翼」を任された狩野が打つのだから、勢いを感じずにはいられない。

 「まだまだ分からない。もっと増やせるようにしていきたい」

 貯金7、2位のヤクルトと2・5差。大和、岩崎、新井、坂、そしてこの日の狩野に秋山…。投打の伏兵たちがもたらした5連勝の勢いなら、14日からの敵地での首位攻防戦もきっと突破できる。 (森田 尚忠)

 ≪5年ぶり≫阪神は今季4度目の同一カード3連戦全勝で連勝を5に伸ばした。夏の長期ロード中の5連勝以上は、85年以降では85、00、04、06、10年にそれぞれ1度ずつ5連勝をマークしており、今回5年ぶり。2位ヤクルト、3位巨人が負けたため、ゲーム差は2・5となった。今季セの首位チームが2位に2・5ゲーム差は7月11日の巨人(2位阪神、ヤクルト)以来。中日戦は今季13勝7敗で3年連続のカード勝ち越しを決めた。昨年からの京セラドームでの中日戦の連勝も11に伸びた。

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