筒香 劇的逆転V2ラン キヨシ興奮「まるで眠狂四郎だね」

[ 2015年8月14日 05:30 ]

<巨・D>9回1死二塁、菅野から右越え2ランを放つ筒香

セ・リーグ DeNA3-2巨人

(8月13日 東京D)
 DeNAの筒香嘉智外野手(23)が13日、巨人戦で逆転の17号2ランを放った。0―2で迎えた9回、完封目前だった相手エースの菅野智之投手(25)を攻略。1点を返し、なおも1死二塁から右翼席に叩き込んだ。前日に18試合ぶりの1発を放ち、2戦連発となる起死回生の逆転弾。不動の4番がチームの連敗を4で止め、巨人戦の連敗も5で止めた。

 一振りでひっくり返した。1点差に迫った9回1死二塁、2ボール1ストライク。筒香は打者有利のカウントで菅野が投じたカーブを腰を落として鋭く振り抜く。次の瞬間、打球は巨人ファンが陣取る右翼席へ消えた。

 「前に突っ込まずに打てた」。少し詰まったが「入る」と確信した。土壇場の逆転2ラン。2試合連続の17号は劇的な結末を呼んだ。両手を突き上げ、ベンチではね回る中畑監督とタッチを交わした。「梶谷さんがつないでくれたので絶対還したかった」。ポーカーフェースの23歳は珍しく頬を緩めてうれしがった。

 「カッコ良かった。久しぶりに鳥肌が立った。まるで眠狂四郎だね!」。中畑監督は4番打者を時代小説の剣豪に例え、興奮した。「筒香VS菅野」。今季開幕戦で1号ソロを放った相手だが、最終打席まで11打数2安打と相性は悪かった。チームも8回まで2安打。それでも、筒香は「やられっ放しじゃいけない」と意を決して、最後は相手エースを切り捨てた。

 開幕から一発を打ち続けたが5月に右太腿裏を痛めてペースは落ちた。交流戦は本塁打ゼロ。6月には日本ハム・中田から譲り受けた先端に重心のあるバットを使って、気分転換も図った。一発は出なくてもコンパクトに鋭く振り、ミートを心掛ける自分のスイングにはこだわり続けた。

 前日の16号は、実に18試合ぶりだった。「調子は上がってきている」。逆転アーチは格別だった。主砲の起死回生の一発でチームは連敗を4で止め、5位ながら2位まで4・5ゲーム差と踏みとどまった。中畑監督は「野球の神様が“おまえら諦めるな”と言っているんだ」と語気を強めた。

 高校野球では左の強打者の早実・清宮が注目を浴びているが、プロの左打者の頂点には筒香がいる。「監督の言うようにこのチームは諦めない」。DeNAがセ・リーグの混戦に再び加わる。筒香は巻き返しを約束した。 (君島 圭介)

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