新井 アニキ金本氏抜く9本目満弾「今度会ったら自慢しよう」

[ 2015年8月14日 05:30 ]

<広・ヤ>3回、新井が5号満塁本塁打を放つ

セ・リーグ 広島9-1ヤクルト

(8月13日 マツダ)
 絶対に負けられない一戦で主砲が存在感を発揮した。広島は13日のヤクルト戦(マツダ)に大勝し、連敗を2で止めた。殊勲は新井貴浩内野手(38)だ。30試合116打席ぶりの5号満塁弾を含め、4安打4打点の大暴れ。投げてはジョンソンが8回を散発2安打零封し、リーグトップタイの9勝目を挙げた。敗れた2位・ヤクルト、3位・巨人とは3差。追撃あるのみだ。

 手のひらに残る好感触が自然にそうさせた。振り抜いたバットを引き戻し、そして高く放り上げる新井らしいフォロースルー。妻・裕美子さんと2人の愛息が観戦する中、最高の結果で応えた主砲は破顔一笑だった。

 「きょうは絶対に負けられない試合。勝てて良かった。皆がつないでくれたので、最高の結果になって良かったです」

 2―0とした3回、なおも1死満塁。石川の初球シンカーを左中間席に運んだ。6月28日の中日戦(マツダ)以来、実に30試合116打席ぶりの5号。阪神に在籍した昨年8月5日のヤクルト戦(神宮)以来、通算9本目の満塁弾だった。

 「後半戦に入って自分のスイングができず、甘い球を見逃すケースも増えていたので積極的に行った」。後半戦は打率・232に低迷。募っていたイライラ感を吹き飛ばし、尊敬する金本知憲氏(スポニチ本紙評論家)の通算8本を超えた満塁弾。「抜いたの? 今度会ったら自慢しよう」と笑った。

 遠征中の2日、DeNA戦後に菊池、田中ら10人を連れ立って横浜市内で食事を共にした。「暇だったからメシを食べただけです」と言うが、若手にしてみればちょっとした決起集会。初参加の田中は「コミュニケーションが取れてよかった。面白かった」と喜ぶ。

 緒方監督がたたえた言葉が存在価値を表している。「1打席目から最後の打席、守備まで気を抜かずプレーする姿勢を見せてくれた」。練習から手を抜かず行動で示す38歳。若ゴイが背中を追うゆえんだ。指揮官は「頼もしい。行けるところまで行ってもらいましょう」と期待する。

 無論、当の本人もそのつもりだ。2回に先制点を呼ぶ右中間二塁打を放ち、5、7回も安打を重ねて4安打4打点の大暴れ。満身創痍(そうい)、疲労は募るが「関係ない」ときっぱりだ。大勝を受け、14日からは地元でDeNA3連戦。今季5勝11敗と分が悪いが、主砲は声を大にして言った。

 「ここまで来たら、分が悪いとか関係ない。きょうの勝ちを明日につなげないといけない。勝つために全力でやる」

 率先垂範の主砲が全力を振り絞り、若いチームを実りの秋へと導く。 (江尾 卓也)

 ▼広島・ジョンソン(8回2安打無失点でリーグトップに並ぶ9勝目)ストライク先行で打たせて取ろうと思った。

 ≪セ現役最多タイ≫新井(広)が9本目の満塁弾。歴代最多は中村(西)の16本、セ最多は王(巨)の15本だが、セの現役では阿部、高橋由(ともに巨)に並ぶ最多本数になった。また9本の内訳は広島で7本、阪神で2本。広島で7本は山本浩二の11本に次ぎ、衣笠祥雄、緒方孝市に並ぶ2位に浮上した。

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