西武 今季初勝利は涌井から よく知る2人が元エース討ち

[ 2014年4月2日 07:48 ]

<ロ・西>3回無死二塁、金子侑のタイムリーで生還する上本。捕手・里崎

パ・リーグ 西武6―2ロッテ

(4月1日 QVC)
 監督として味わう勝利は、オリックス時代の04年以来、10年ぶりだった。しかし、西武・伊原監督はウイニングボールを受け取らなかった。

 「巨人のヘッドコーチ時代に何度ももらっている。自分がもらっても、への突っ張りにもならない」。感慨にふけることなく、8回2失点で勝利投手となった牧田に譲った。

 開幕3連敗同士で激突した一戦。相手の先発は昨季まで西武のエースとして活躍し、今季からロッテにFA移籍した涌井だった。かつての同僚を攻略したのは、2人の伏兵。決勝打は木村のバットから生まれた。3回、同点に追いつき、なお1死一、二塁で、131キロの低めのフォークに体を残し、右前に運んだ。

 「何が何でもランナーを還そうと思った。監督に使ってもらっているので、フルスイングができて良かった」

 一昨年まで投手だった木村にとって、2つ年上の涌井は尊敬できる兄のような存在。グラウンドでは配球を学び、オフの日は独身同士でディズニーランドに出かけ、クリスマスを一緒に過ごしたこともある。「あえて(涌井と)目線を合わさないようにした」。この試合で5番から3番に昇格した野手2年目の男は、私情を捨て、思い切り振り抜いた。

 この回、口火を切ったのも、涌井をよく知る上本だ。開幕3連戦でマスクをかぶった炭谷に代わって、今季初先発。上本は昨季、涌井の球を受けながら「全盛期ほどの制球力がない」と感じていた。だからこそストライクを取りに来る直球を狙い球に設定。先頭で145キロの直球を叩いて右中間二塁打を放ち、金子侑の中前打で同点のホームを踏んだ。

 楽天との開幕3連戦ではわずか4得点の貧打だったが、伊原監督の期待に木村と上本が応えた。終盤には新外国人ランサム、浅村に一発も飛び出し、11安打で6点を奪っての快勝。「勝つ材料は持っている。欲しいのは勝利だけ」。主砲・中村不在の中、伊原西武は動いて活路を見いだす。

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