創部107年目で頂点 原田監督男泣き「平安ファンとしてうれしい」

[ 2014年4月2日 16:00 ]

初優勝を果たし、原田監督を胴上げする龍谷大平安ナイン

第86回選抜高校野球大会決勝 龍谷大平安6―2履正社

(4月2日 甲子園)
 1908年(明治41年)の創部から、107年目にしてようやく初めてつかんだ春の日本一。アルプス席の前で選手たちの手によって3度宙を舞い、観客席と一体になって皆で万歳三唱してから優勝監督インタビューに臨んだ龍谷大平安(京都)の原田英彦監督(53)は、こみ上げてくるものをさすがに抑え切れなかった。

 まずは「ありがとうございました!」と感謝の言葉を口にすると、「卒業生、OB、ファンの方々…色々な方に期待していただいて、そこをやつらがやってくれました!」と絶叫。「ホント、ほめてやって下さい!」と発した言葉は球児の聖地・甲子園に響いた。「監督という立場ではなく、平安ファンとして本当にうれしい」。その言葉は指揮官の素直な気持ちだったに違いない。

 センバツ決勝では、初となった京阪対決。どちらが勝っても初優勝という一戦は、終盤に山場を迎えた。

 龍谷大平安が4―2とリードして迎えた8回裏の守り。2番手として3回途中から好投していた元氏が1死一、二塁のピンチを招くと、原田監督は3番手に今大会初登板の犬塚を送った。だが、その犬塚が緊張もあってか最初の打者に四球を与えて1死満塁とピンチを広げ、続く打者・永谷へのカウントが2ボールとなったところで、今度はすかさず背番号1をつけた中田へとスイッチした。そして、その中田が投じた最初の球も外れて3ボール。だが、ここからがエースの真骨頂だった。2球連続でストライクを取り、最後は空振り三振。続く1番・辻も投手へのゴロに仕留めて絶体絶命のピンチを無失点で切り抜けた。そして、ピンチの後にはチャンスあり。9回表には4番を打つ主将の河合が1死二塁から右翼スタンドに2ラン本塁打を叩きこんで接戦にケリをつけた。

 8回の場面を「抑えてやろうという気持ちでマウンドにいった」という中田は、3ボールなっても「冷静に投げれた」とし、「気持ちで投げたのが、ああいう結果になったと思う」と笑顔。8回のピンチを切り抜け、3アウト目の投ゴロを一塁でつかんだ際と9回の本塁打の際には派手なガッツポーズを見せた河合は、優勝が決まるとチームメートに肩を抱かれながら男泣きした。

 「中田の好リリーフのおかげであの一打が出たと思う」と最終回の一発を振り返った主将は、「このチームは新チームの立ち上げの時から日本一を目標にしてきた。厳しい冬を乗り越えて、この日本一をつかんだと思います」と涙の乾いた笑顔で言った。「38回目(の出場)でやっとセンバツで優勝できました。今まで支えていただいた方に感謝して、この年の龍谷大平安は強かったと今後も言ってもらえるよう頑張っていきたい」。主将として手にした紫紺の優勝旗。センバツ初優勝を果たして迎える今年の夏は、1956年以来58年ぶり4度目となる夏の頂点を目指し、その手に感じる重みからスタートする。

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