「みんなで戦った勝利」重圧耐えた岩隈が涙

[ 2011年4月13日 06:00 ]

<ロ・楽>スタンドに向かって手を振る嶋(左)と岩隈

プロ野球 パ・リーグ 楽天6-4ロッテ

(4月12日 QVC)
 千葉の西日を浴びた両目は涙で光っていた。女房役の嶋と臨んだヒーローインタビュー。重圧に耐えて白星を挙げた楽天の岩隈は左翼席のファン、そして東北で歯を食いしばって戦っている被災者に向けて言葉を発した。

 「集まってくれた皆さん、東北で戦っている皆さんも含め、みんなで戦った勝利。これからも元気と笑顔を届けられるように頑張ります」

 初回、投球練習を終えた岩隈はナインの顔を見渡すと力強く両拳を握った。先制点を許した4回は、なお2死一、三塁で地震による2分間の中断。それでも「揺れは感じなかった」と振り返るほどの集中力で最少失点に切り抜けた。福浦に3ランを浴びて降板した9回途中まで108球中、直球は47球。140キロ以上は6球だけと本調子でない中、粘りの投球で楽天元年の05年以来となるQVCマリン(当時は千葉マリン)での開幕戦で先発の役割を果たした。

 今回の震災では岩隈自身も精神的、肉体的に難しい調整を強いられた。股関節の違和感を抱えたままキャンプに入り、結局、2月中の実戦登板はなく、最終登板の前回、6日のオリックス戦(京セラ)も5回3失点。万全の状態とはほど遠かった。その中で8日に宮城県女川町の避難所を訪問。あまりの惨状に涙をこぼしながら、調子どうこうではなく「頑張らないといけない」と強く心に刻んだ。苦しいマウンドで発揮したのは緩急、制球力、そして苦境でも応援してくれている被災者たちへの思いだった。

 この日は岩隈の30歳の誕生日。「試合が終わってから“そういえば誕生日だったんだ”と思ったぐらい集中していた」と苦笑いした。スパイアーから受け取った勝利の記念球は、ベンチでナインを鼓舞し続けた星野監督に手渡した。「きょうは忘れられない試合になる。最後に東北の皆さんにいい報告をしたい」。

 ユニホームの左袖にある「がんばろう東北」のワッペンと喪章。復興を目指す被災者とともに、岩隈は戦い続ける。

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