マートン 虎56年ぶりの開幕先頭弾!

[ 2011年4月13日 06:00 ]

<神・広>1回、同点本塁打を放った阪神のマートンはブラゼル(左)らナインとハイタッチ

プロ野球 セ・リーグ 阪神7-4広島

(4月12日 甲子園)
 いきなり魅せた。見えない力が打球を乗せた。初回――。先陣を切ってバッターボックスに入った阪神のマートンが、カウント1ボール1ストライクから前田健の外角高め149キロ直球を強烈にインパクトした。高々と舞い上がった打球はそのまま右翼席へ。昨季214安打のプロ野球新記録を打ち立てた安打製造機が、2011年は先頭打者弾からスタートを切った。

 「この1本は東北にいるファンの応援がすべてを後押ししてくれたんだと思う。本当のヒーローはその人たちだ」

 前日には東日本大震災の被災地へと15万円相当の子ども向け用品、そして義援金100万円を送ったことを明かした。今度はグラウンドでの全力プレーを誓っていた心優しいヒットマンが、その思いを第1打席で体現した。チームにとっては56年ぶりとなる開幕戦での先頭アーチ。自身通算3本目となる先頭弾は、今オフから取り組んできた飛距離を求める新打法の完成をも証明していた。

 29歳となった今も開幕には緊張と興奮が交錯する。「オープニングデーはニューイヤーの始まり。エキサイティングなんだ」。はやる気持ちを抑えるかのように、前日は人気映画「アバター」をDVD観賞しながら午後10時半に就寝。午前7時に目を覚ますと丁寧にヒゲをそり落としてから球場へと向かった。そしてチーム練習が始まる前には甲子園の室内練習場で約1時間の特打ち。「きょうはよくボールが見えたんだ。1日を通して頭で描いていたとおりの体の動きができたよ」。心身ともに準備を整えてきたからこそ、衝撃のアーチは必然だった。

 開幕戦での本塁打は、カブスに在籍していた06年にレッズのハラングから放って以来。「あのときは初めて開幕1軍を勝ち取ったときだったからね。覚えているよ」。号砲とも呼べるこの日の一打も記憶に残るものとなっただろう。虎党の期待を裏切らない優良助っ人の2年目が、最高の形で幕を開けた。

 ≪阪神では金田正泰以来≫マートン(神)が07年高橋由(巨)以来史上18人目(表6、裏12)の開幕戦初回先頭打者本塁打。チームでは55年金田正泰以来56年ぶり2人目、外国人では54年レインズ(阪急)、56年与那嶺要(巨)に次ぎ3人目となった。

続きを表示

2011年4月13日のニュース