笑福亭笑瓶さん急死 怖い「上行」急性大動脈解離「救命が難しい病気」

[ 2023年2月23日 05:09 ]

笑福亭笑瓶さん死去

 笑福亭笑瓶さんが発症した急性大動脈解離は急死の原因になることも多い。

 解離は、3層になっている血管壁の最も内にある内膜に亀裂が入り、血流が中膜に流れ込む状態。血流が流れ込み血管が膨れて瘤(こぶ)ができると大動脈瘤(りゅう)になり、外膜が裂けて外側に出血すると大動脈破裂となる。

 血液が心臓から頭部に向かう上行大動脈が解離した場合をA型、血液が足の方に流れる下行大動脈で発症した場合をB型と分類。医療ジャーナリストで医学博士の森田豊氏は「A型は非常に危険」とする。A型は1時間に1%ずつ死亡率が上昇するといわれ、48時間以内に50%の患者が亡くなる。

 笑瓶さんは、2015年に発症した際は背中側に痛みを感じたと話し、手術はせず約3週間の入院治療で事なきを得た。今回は胸部に痛みを訴えたという。森田氏は「残念ながら今回は、心臓に近い上行大動脈に解離が起きたのではないか」と推測した。

 笑瓶さんのように、複数回の発症も珍しくないという。森田氏は「一度発症した部分を治療しても、血管全体が老化や高血圧で動脈硬化を起こしていると考えられる。他の部分に新たな解離が起きることもある」と説明した。

 発症リスクは、高血圧、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、遺伝など。年齢的には70代以降に増加するが、40代など若年でも珍しくない。

 発症時の症状は胸や背中の痛みで、森田氏によると、解離が広がったりすることで痛む場所が動いていくのが特徴の一つでもあるという。「経験のないほどの痛み、さらに、痛みの場所が胸や背中を中心に移動する場合は、即救急車を呼んでほしい」とした。

 15年の発症から復活した笑瓶さんは、テレビの医療番組でも経験を語り、森田氏も共演が多かった。「予防は血圧管理や生活習慣の見直しで、笑瓶さんも血圧の変動や食生活に相当気をつけていると話していたが…。発症してしまうとなかなか救命は難しい病気です」と話した。

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2023年2月23日のニュース