打撃職人が野球塾開校 「子供が見てもらえない」不満の声に応える石井義人氏のアプローチ

[ 2022年7月13日 07:30 ]

野球塾で少年ら参加者に指導する石井義人氏
Photo By スポニチ

 現役時代から引退後の今でも、数々の野球教室に参加してきた。そのたびに耳にする声があった。「“自分の子供がなかなか見てもらえない”など、現場で漏れる不満に耳を傾けてみたんです」。西武、巨人などで活躍し現役通算645安打を放った石井義人氏(44)。6月から埼玉県越谷市で個人指導の野球塾「ジャッキー33野球教室」を開校した。

 毎週月、水、土曜日に、小学生、中・高校生、社会人と3カテゴリーに分けて。120分間のレッスンは、各クラス10人までに限定し、対話と直接指導を重視した。

 現役プロ野球選手らによる野球教室は、競技人口の減少が続く「野球離れ」の中で、競技普及にはつながっても技術的な向上にはなかなか直結しない。多くの参加者は実際にプロ野球選手を目にし触れることで、気持ちの面で「野球を好き」にさせることが目的になっている。また近年流行の兆しをみせるYouTubeでの技術指導も、選手個々に合わせて最適な情報が流れているかというと、決してそうではないだろう。

 「コンセプトは“打撃の基本を徹底的に染みこませること”。動画配信ではなく、実際に選手を触って、会話してみないと、本当のところは教えられないと思いました」

 西武時代の05年は打率・312で首位打者争いをし、巨人では代打の切り札として12年クライマックスシリーズ・ファイナルではMVPに輝いた。打撃の職人で鳴らした石井氏らしく、指導は打撃一本で投球や守備は教えない。「子供たちは守備より打撃の方が楽しいですしね。もっと打てるようになって、野球が楽しくなってほしい」と目を細めた。

 14年の現役引退後は、BCリーグ・武蔵のコーチ、軟式野球の公聴会・佐藤病院の監督、女子プロ野球リーグの野手総合コーチと同じ野球でもさまざまなカテゴリーで指導者としての道を歩んできた。今回も硬式、軟式問わず希望する生徒たちの要望に幅広く対応する。「親御さんにも中に入ってもらい、動画を撮影してもらって。実際にその映像を見ながら指導していく。動画には指導時に話す内容も録音されるので、復習にもつながります」。誰よりも生徒たちに寄り添い、確実な技術向上を目指す。職人肌でファンに愛された現役時代同様、ユニークなアプローチは確かな成果につながりそうだ。(記者コラム・後藤 茂樹)

詳しい内容や問い合わせ、予約などは公式インスタグラム
(@jackie___335)まで。※_はアンダーバー3つ。

続きを表示

この記事のフォト

2022年7月13日のニュース