五輪初のトランスジェンダー選手 記録なしも歴史的一歩に拍手、重量挙げ女子・ハバード

[ 2021年8月3日 05:30 ]

東京五輪第11日 重量挙げ ( 2021年8月2日    東京国際フォーラム )

重量挙げ女子87キロ超級 スナッチの1回目で120キロに挑むニュージーランドのハバード
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 重量挙げの女子87キロ超級で、五輪初のトランスジェンダー選手のローレル・ハバード(43=ニュージーランド)は記録を残せずメダルを逃した。スナッチの1回目の試技で120キロを挙げられず、2回目の125キロは頭上に挙げてガッツポーズしたが審判の判定で失敗に。3回目は再び125キロに挑んだが、無情にもバーベルは後ろに落下。競技を終え、両手でハートマークをつくると、会場の関係者から大きな拍手が降り注いだ。

 これまでの3倍以上の報道陣が詰めかけるなど、世界中の注目を浴びながらジャークまで進めなかった。それでも、ハバードは「こういった大会への参加に関する議論は、全く意識しなかった」とほほ笑んだ。

 20代まで男性として競技していたが、8年前に性別適合手術を受けてトランス女性としての競技人生をスタート。15年には国際オリンピック委員会(IOC)がトランス女性選手の女子競技参加を認めるガイドラインを策定し、五輪への道が開けた。17年の世界選手権で銀メダルを獲得するなど結果を出し、五輪出場権を手にした。

 「多様性の尊重」と歓迎される一方で、「元男性は有利」だとして公平性が疑問視された。批判や反発の声が絶えない中で歴史的な初出場を果たしたハバードは「スポーツは全ての人のもので、参加を制限しない、近づきやすいものだと証明してくれた」と日本とIOCに感謝した。

 ◇ローレル・ハバード 1978年2月9日生まれ、ニュージーランド・オークランド出身の43歳。10代で競技を始め、国内男子のジュニア記録を持っていたが、20代で引退。2013年に性別適合手術を受けて「ギャビン」から「ローレル」に名前を変え、女性として競技を再開。17年世界選手権では銀メダルを獲得した。

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