メダルまであと11センチ…橋岡 男子走り幅跳び6位 日本勢37年ぶり入賞

[ 2021年8月3日 05:30 ]

東京五輪第11日 陸上 ( 2021年8月2日    国立競技場 )

男子走り幅跳び、6位入賞の橋岡優輝(撮影・小海途 良幹)
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 男子走り幅跳び決勝は橋岡優輝(22=富士通)が8メートル10で6位に入り、1984年ロサンゼルス五輪で7位の臼井淳一以来、日本勢として37年ぶりの入賞を果たした。五輪、世界選手権ともに入賞以上の結果を残したのは日本人では初だ。

 橋岡の表情は晴れなかった。メダルまであとわずか11センチ、その差に世界の壁を痛感した。「悔しい。もう少しうまくやれていたらという後悔もある」と複雑な表情を浮かべた。

 メダルが懸かった最終6回目の試技。「五輪は3年後にしか来ない。ケガしてもいいという覚悟で跳んだ」。この日一番の8メートル10を記録したが、メダリストたちはその先を跳んでいた。「タフな試合をあまりこなしていないところで経験不足が出た」と唇をかんだ。

 棒高跳び元日本記録保持者の父、三段跳びの元日本記録保持者の母、そしてオリンピアンの叔父に育てられた。それ以上に世界の舞台へ押し上げたのは走り幅跳びで五輪4大会連続金メダルのカール・ルイス(米国)直伝の“踏み切り魂”だった。

 まだ容易に海外渡航ができた19年3月末。米国合宿中にルイス氏本人から直接指導を受ける機会があった。踏み切りでタイミングを合わせる傾向の橋岡に対してルイス氏は「目標の記録を跳ばなければ崖に落ちると思え」と意外なアドバイスをした。踏み切り板からすぐ先は崖をイメージし、「死ぬ気でいけ!」と声を掛け続けた。

 外国人選手はファウルもいとわない攻めた跳躍をするだけに、少しでも弱気な跳躍だと橋岡に対して「もっと踏み込め。怖いんだろ」とハッパを掛けた。100メートルでも9秒台の記録を持つレジェンドの姿勢に驚いたのと同時に、安定志向から転換した。ファウルが多くなる課題はあるが「今は世界と肩を並べるくらいになれた」と、成長も実感している。

 世界基準の選手になるべく、来年から海外を拠点にすることも明言した。「金メダルという目標を実現させるだけの実力を付けたい」。3年後の大ジャンプに向けた橋岡の助走は、始まっている。

 【橋岡 優輝(はしおか・ゆうき)】
 ☆生まれとサイズ 1999年(平11)1月23日生まれ、埼玉県出身の22歳。

 ☆競技歴 中学時代は四種競技をメインに走り高跳びなどにも取り組んできた。東京・八王子学園八王子高から走り幅跳びを専攻した。

 ☆家族 父は棒高跳びの元日本記録保持者の橋岡利行さん。母の直美さんも日本選手権100メートル障害Vの陸上一家。サッカー東京五輪代表の橋岡大樹はいとこ。

 ☆主な実績 16年に全国高校総体優勝。17年から日本選手権3連覇。19年はユニバーシアード夏季大会を制し、世界選手権で8位入賞した。

 ☆夢 小学校時代はプロ野球選手を目指していた。中学時代に東京五輪が決まり、陸上世界一を目標にした。

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