“タイプが違う”石川祐希&高橋藍の共通点 龍神ニッポンが誇るアタッカーへ恩師がかけた言葉

[ 2021年8月3日 05:45 ]

<日本・カナダ>得点を喜ぶ石川(14)ら日本チーム(ロイター)

 バレーボール男子日本代表は3日、準々決勝で前回16年リオ五輪金メダルのブラジルと戦う。1日に行われたイランとの1次リーグ最終戦で、フルセットの末に3―2で勝利し、29年ぶりの8強入り。金メダルを獲得した72年ミュンヘン五輪以来の表彰台へ、強敵に立ち向かう。

 そんなチームを支えるのが、絶対的エースで主将の石川祐希(25=ミラノ)と、19歳の新星、高橋藍(日体大)。今大会の1次リーグ5試合で、石川は勝負どころで強烈なスパイクを放つなど95得点、高橋は49得点だけでなく得意とする守備も光っている。

 高校も大学も異なる2人だが、共通する指導者がいる。京都・東山高男子バレーボール部の松永理生コーチ(39)だ。松永氏はVリーグのパナソニックでプレーし、日本代表に選ばれた経歴も持つ。現役引退後は母校の中大で石川を、東山で高橋を指導した。同氏は2人のことを「石川は、やりたいプレーを頭で想像できて、体現してしまう天才。高橋の場合は見本を吸収する。教科書があれば、コピーして自分のものにしていく。タイプは全く違う」と表現する。

 石川は大学時代から、自らの感覚を大切にしてきた。速い攻撃を展開する際も、自分なりスピード感から、セッターへ「このスピードで上げてみて」と的確に要求。相手に攻略されそうになると、先を一歩読み、パターンを瞬時に変える対応力もあった。「発想力があって、その発想を具現化できる人」と松永氏。若くして、その才能を発揮していた。

 そんな石川を手本としてきたのが高橋だ。東山高時代の練習では、松永氏に「石川選手は、どのような練習をしてたんですか?」と質問攻め。目標だった石川という教科書を手本に、確かな技術を着実にマスターしていった。

 タイプは違うが、2人に共通することもある。努力と貪欲さ。松永氏は2人に対し、共通して、この言葉をかけていた。「もうそろそろ、練習やめたら?」。指導者にそこまで言わせるどの積みかさねが、石川と高橋の血肉となった。

 準々決勝で戦うブラジルには現在32連敗中。前回大会覇者でもあり、とてつもなく厳しい相手だ。でも、石川は言う。「ベストを尽くすだけ。やっていることを最大限発揮して、全力で臨む」。龍神ニッポンが誇る2人のアタッカーが王者に立ち向かう。(記者コラム・滝本 雄大)

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