尾道 「全集中の呼吸」ボイトレ効果で初戦大勝

[ 2020年12月28日 05:30 ]

第100回全国高校ラグビー大会1回戦   尾道64―12学法福島 ( 2020年12月27日    花園ラグビー場 )

<尾道・学法福島>前半22分、右中間にトライを決める尾道・村田(左)(撮影・坂田 高浩)
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 CTB村田佳翼は尾道の大黒柱だ。巨漢FWをそろえる学法福島の徹底したモール戦術に大苦戦していた12―7の前半20分。自陣ゴール前で、相手から力ずくでボールを奪い返してピンチを救った。

 攻守交代後の反撃は、蹴ったボールを敵陣ゴール前で自分で押さえ、立ち上がって、2、3人につかまれながらトライ。「自分の得意なプレー。持ち味を出せたと思った」。これで勢いづいたチームは、後半にバックスがトライの山を築いた。

 序盤の劣勢の中、メンバーは大声を出し合って冷静さを保った。もみくちゃになることが多いラグビーにおいて、味方を動かし、自分の居場所を伝える声の大きさは、欠かせぬ能力。19年W杯優勝の南アフリカ代表WTBでNTTドコモのマピンピは「声は僕の強み。ほしいときにもらえない」と連係の肝と考え、スタジアム中に響く声をいつも出す。

 尾道の田中春助監督(32)はその重要性を認識し、今秋、部員にボイストレーニングを初めて受けさせた。歌手グループのPerfumeをレッスンした本格的な講師を招いた。

 「大事なことは、息を吐くタイミングと声を出すタイミングを合わせることでした。生徒の中には、自分がこんなに声が出るとは、と驚く子もいました」

 監督だけでなく、主力の村田も仲間も声量アップを感じていた。「しんどい時でも呼吸を整えて声を出す、という練習をしてきた。きょうは広いグラウンドで大きな声が出て、トレーニングの効果が出たと思う」。今年話題になった漫画「鬼滅の刃」を連想させる「全集中の呼吸」が、大勝発進を下支えした。

 コロナ禍による無観客開催の中でも、伝達の重要性は変わらない。過去最高14年の4強超えへ、大声を張り上げていく。

 ≪“声援”がパワーに≫力強い“声援”が勝利の原動力になった。試合前日の26日、ET―KINGのメンバー、KLUTCHとコシバKENが大阪府内の練習会場に駆けつけ、『この歌を・・・・・・・・♪』を全員で歌った。同部ではこの曲を試合前などに歌うのが恒例で、今春に動画をSNSにアップしたことがきっかけで交流が始まったという。No・8森元主将は「励みになりました」と感謝した。 

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2020年12月28日のニュース