【岡崎真の目】重圧克服、紀平に感じた可能性 難易度まだまだ上げられる

[ 2020年12月28日 05:30 ]

フィギュアスケート 全日本選手権最終日 ( 2020年12月27日    長野市ビッグハット )

<全日本フィギュアスケート選手権最終日>女子フリー、演技をする紀平梨花
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 直前に坂本が素晴らしい演技を見せたのでプレッシャーを感じてもおかしくない場面だったが、紀平はそれをはねのけた。大技の4回転サルコーもしっかり決めた。元々、紀平は坂本のように高さで持っていくタイプの選手ではなく、回転速度の速さが持ち味の選手。着氷時の初見で一瞬回転を疑うような時もたまにあるのだが、今回は全く問題なかった。

 次のトリプルアクセルは踏み切りのタイミングが合わずに軸が傾いてしまい、惜しくも回転不足となってしまった。とはいえ、普通はあの状態だともっと回転が足りなくて転倒することも多い。あの体勢からちゃんと片足で着氷してGOE(出来栄え評価)もマイナス0・18で収めたのはさすがだった。

 昨季まではSPとフリーが2本そろわないこともあっただけに、今回の試合は大きな自信になったはずだ。これでプログラムに4回転サルコーとトリプルアクセルが1つずつ入ったので、今後はどちらかをさらにもう1回、あるいは最大で4回転サルコーを2回、トリプルアクセルも2回入れた超高難度の構成も考えられるのではないか。

 彼女の武器は切れのあるジャンプ。4回転はサルコー以外にトーループなども練習しているようなので、難易度はまだまだ上げられる。今後どれだけ構成を上げるのか楽しみだ。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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