桃田 男子単、復活V3 死闘80分逆転勝ち「最後にひと踏ん張りできた」

[ 2020年12月28日 05:30 ]

バドミントン全日本総合選手権最終日 男子シングルス決勝   桃田(NTT東日本)2―1常山(トナミ運輸) ( 2020年12月27日    東京・町田市立総合体育館 )

男子シングルスで優勝を決めてガッツポーズする桃田賢斗
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 東京五輪出場を確実にしている世界ランキング1位の桃田賢斗(26=NTT東日本)が男子シングルスで3連覇を達成した。常山幹太(24=トナミ運輸)との決勝を2―1で制した。交通事故に遭った今年1月のマレーシア遠征以来の復帰戦は苦戦もあった中で底力を発揮。金メダルを狙う五輪イヤーに弾みをつけた。また、桃田とともに交通事故で負傷しながら復活を支えた専属の森本哲史トレーナー(42)がねぎらいの言葉を贈った。

 スタンドを見上げて左拳を握りしめる。サイドラインぎりぎりにスマッシュを叩き込んで80分間にも及んだフルゲームの死闘を制し、桃田が復帰戦を全日本3連覇で飾った。

 「最後はもう出し切っている状態で引き出しも何もなかったですけど、気持ちで踏ん張ることができました」

 第1ゲームは先行しながら逆転を許し、第2ゲームを奪い返して迎えた最終ゲーム。一進一退の攻防でもつれたが、最後は18―17から3本続けてポイントを奪った。初Vを狙った常山が「スピードを上げられなかった。スタミナの差」と嘆いた場面で「自分はまだまだ動けるなという部分が気持ちも体もあった。出し切ろうと、フルスピードで動こうと思って」と桃田。最後の最後で躍動感あふれるプレーで突き放した。

 1年前とは異なる感慨があった。19年は年間でギネス世界記録にも認定されたツアー最多11勝を挙げ、そのままの勢いで全日本も2連覇。「圧倒的な自信があった」と明かす。今年1月に事故による右眼窩(がんか)底骨折の手術に加え、新型コロナウイルスの影響で主要大会が軒並み延期。約11カ月ぶりの実戦で「誰が優勝するか分からない横並びのスタート」と振り返り、常に不安と緊張を強いられた。それでも地力の差を見せつけて優勝。「苦しいところで最後にひと踏ん張りできたのは、地道な練習の成果もある。そこが強い気持ちになって表れた。凄く自信になりました」と喜んだ。

 年明けからはタイに遠征。金メダルを狙う東京五輪に向けて磨きをかける時期に入る。苦戦が続いた大会を振り返り、愛読漫画「鬼滅の刃」にちなみ「まだまだ“柱”にはなれないな、という感じ。(スタッフに)“感謝の呼吸”はちょっとは披露できたかな」と笑った。“全集中”で迎える東京五輪でさらに成長し、感謝の気持ちを結果につなげる。 

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