吉田の敗因探る“2キロの壁”で失った攻撃性「機を見て慎重に」が裏目

[ 2016年8月20日 05:30 ]

リオ五輪<女子レスリング・53キロ級 決勝>金メダルのマルーリス(左)は涙。銀メダルの吉田も涙

リオデジャネイロ五輪レスリング・フリースタイル女子53kg級決勝

(8月18日 カリオカアリーナ)
 近年の吉田は従来の豪快なタックルとは違った戦いが目立っていた。伊調は吉田の強さについて「うまさじゃないですかね。身のこなし」と昨年末に語っていた。長年、吉田の練習相手を務めた菅原ひかり(岩手・種市高教)も「タックルだけでなく、相手を疲れさせる動き、攻めようとしてもそれを封じる手さばきがうまい」という。ただ、スタイル変更には理由があった。今大会から女子は従来の4階級から6階級に増えた。その代わり減量いらずで3連覇していた55キロ級が消え、吉田は53キロ級に移った。わずか2キロだが相手の的は小さくなり、動きは速くなる。

 ロンドン五輪女子48キロ級金メダルの小原日登美さんは51キロ級から48キロ級に移り、3キロの差に驚いた経験者。「体重を落としていつも通りやればいいと思ったけど別世界」。その対応策として「それまではタックルタックルだったのが、タックルに入る前の相手を崩す組み手を重視」するようになったという。減量が増えた分だけケガがちにもなる。吉田が昨年末からぜんそくの症状が出たこともどこか関連があるのかもしれない。

 年齢による瞬発力の衰え、相手による吉田対策、さらに“2キロの壁”によって以前のイケイケで攻める爆発的なスタイルは失われた。機を見て慎重に攻めるスタイル。しかし、それでは五輪4連覇の最後の壁を崩せなかった。

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2016年8月20日のニュース