ボルト3大会連続2冠200m19秒78 目指すは「ザ・グレーテスト」

[ 2016年8月20日 05:30 ]

男子200メートルを制したボルトはゴールにそっとキスをする

リオデジャネイロ五輪陸上男子200メートル決勝

 リオデジャネイロ五輪陸上男子200メートルの決勝が18日に行われ、準決勝を全体1位で通過していたウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)が19秒78で優勝。100メートル同様、この種目でも五輪3連覇を達成した。成長著しい若手のアンドレ・デグラッセ(21=カナダ)が20秒02で銀メダルを獲得。クリストフ・ルメートル(26=フランス)がアダム・ジェミリ(22=英国)を1000分の3秒差で振り切って3位に入った。ボルトは19日(日本時間20日午前10時35分)の400メートルリレー決勝で3大会連続の3冠に挑む。

 6レーンを飛び出したボルトは序盤から一気に加速した。明らかに自身が保持する19秒19の世界記録の更新を狙ってのコーナリング。しかし直線に入って「脚が“そんなに速く走る必要はないだろう”と語り掛けてきて新記録は断念した。もっと速く走りたかったんだが…」と悔いを残したレースとなった。太腿につけていたレーン番号を示すシールを叩きつけて渋い表情。タイムだけがボルトを打ち負かす?決勝となったが、それでも1位の座は譲らなかった。

 スタート30分前に小雨が降り、向かい風0.5メートルという不利な条件も加わって他の7選手は全員、準決勝の記録よりも悪かったが、ただ一人ボルトだけは同じタイム(19秒78)でフィニッシュ。スタジアムにボブ・マーリーの「ONE・LOVE」が流れる中でボルトは大声援を送ってくれた多くのファンの“自撮り”に応じていた。「♪私が感じたことを一緒に分かち合いましょう」という歌詞の内容がぴったりはまるエンディング。「もう自分の能力を証明する必要はなくなった。あとは大会が終わったあと、僕をアリ(ボクシング)やペレ(サッカー)と同じ“ザ・グレーテスト”の中に入れてもらえることを願うよ」と、五輪最後の個人種目を終えた希代のスプリンターは、これまでの足跡をかみしめながら勝利の余韻に浸っていた。

 15歳の時からボルトをマネジメント面で支えるノーマン・パート氏は「ジャマイカには“プレッシャーに打ち勝つにはクロコダイル(ワニ)のような皮膚を持て”という格言がある。彼の皮膚はまさに今、そんな感じだ」とボルトの強さを表現。「100メートルは趣味、200メートルはビジネス」と言い切る“本業”で、ボルトはワニ皮で全身を包んで全ての圧力をはねのけた。

 残るは19日の400メートルリレー決勝1種目のみ。勝てば3大会連続の3冠で五輪人生が終了する。北京五輪で初めて世界の頂点を極めてから8年。30歳のバースデーとなる21日を前にして、記憶と記録を残すボルトの“送別会”は世界の注目を集めることになるだろう。

 ◆ウサイン・ボルト 1986年8月21日生まれ、ジャマイカ北西部トレローニー出身の29歳。14歳でクリケットから陸上に転向し世界選手権デビューとなった07年大阪大会では200メートルで銀。08年北京、12年ロンドン、今大会と100メートルと200メートルを五輪3連覇。09年ベルリン世界選手権では100メートル9秒58、200メートル19秒19の世界記録を樹立。1メートル96、95キロ。

続きを表示

2016年8月20日のニュース