競歩・荒井 地獄から一転…陸連に感謝「諦めずに対応してくれた」

[ 2016年8月20日 11:00 ]

<男子50キロ競歩>銅メダルを手に満面の笑みを浮かべる荒井

リオデジャネイロ五輪陸上・男子50キロ競歩

(8月19日 ポンタル)
 二転三転の末に日本競歩初のメダル獲得を成し遂げた荒井広宙(ひろおき、28=自衛隊)。表彰式ではようやく手にした銅メダルを観客席に掲げて感無量の様子。「予想外の展開でしたが、みなさんのおかげでメダルを獲得することができた。日本の競歩を作ってくれた先輩に恩返しができました」と、天国と地獄を同時に味わった荒井の口から最初に出たのは感謝の言葉だった。

 レース終盤、残り2キロを切って荒井は一度追い抜かれた後、エバン・ダンフィー(カナダ)を抜き返す際に接触。よろめいた隙に差を広げて3着でゴールした。ゴール後に4位となったダンフィー側が抗議し、1時間以上協議の末に失格の裁定が下された。

 「手が当たったり、肘が入ったりすることは珍しいことではない」と、最初はカナダの抗議に納得できなかった。接触の場面については「お互い余裕がなくてフラフラしてしまって。正直きつくて覚えていない」というが、それでも「故意にはやっていない」ときっぱり。そして、日本陸連の上訴が認められての銅メダル。吉報は女子20キロ競歩のコース沿いで応援していた時に届いたといい「ダメだったらとか(メダルを)取れたらとか、右往左往していた。でも自分は悪いことをしていないので。諦めずに対応してくれた陸連の方に感謝したい」とうれしそうに話した。

 ダンフィーは一時はスポーツ仲裁裁判所(CAS)への提訴も検討したというが「正しい判断だったと信じる。裁定で勝ったとしてもメダルは受け取れないだろう」と潔く話し、4年後の東京五輪に意欲を示した。荒井も「銅メダルに満足するのではなく、4年後の東京五輪があるので上を目指したい」と充実の表情を見せていた。

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