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このゆびと~まれ

【第60回】春の訪れ

[ 2021年4月19日 05:00 ]

大量のイカナゴたち!計160kg
Photo By スポニチ

 みなさん、こんにちは。深日小の岡田です。

 季節の移り変わりは、色々なもので感じられますが、ここ岬町では、魚も春の訪れを知らせてくれます。

 近年、大阪湾でもめっきり不漁となったいかなごです。
 深日小の子どもたちの保護者には漁業や水産業に携わっている方がたくさんいます。

 3月中旬、漁師さんのお宅で「いかなごの釘煮」を作るという情報をキャッチしました。今年は2日間で160キロを煮るとのこと。この日を逃せば、子どもたちに地域の伝統を伝える絶好の教材という“大漁”を逃すことになります。早速、現場に急行しました。

 本来なら深日港で水揚げされたいかなごで作るそうなのですが、近年の不漁が著しく、生のいかなごを和歌山から仕入れてきたそうです。

 たくさんの鍋が並んでいますね。この鍋一つで6キロ作るそうです。材料は、いかなご、しょうゆ、砂糖、みりん、しょうがのみ。添加物等は一切入れないというこだわりがあります。

 材料はこれだけなんですが、絶妙の味と食感に仕上げるのに10年の歳月がかかったとのことです。

 もちろん分量は企業秘密ですが、漁師さん自ら作るくぎ煮の手際の良さは見ていて本当にかっこいいです。

 今年はコロナウイルスの感染拡大防止もあり、例年以上に入念に衛生管理には気をつけられていました。

 くぎ煮は、いかなごと調味料を1時間ほど煮て、完成なんですが、鍋からカゴにあげた時の湯気と、あたり一面に香る甘辛いおいしそうなにおいときたらとても文章で表すことはできません。

 「先生、食べてみてよ」と言われ、試食させていただいたのですが、「あれっ!? くぎ煮ってこんなに柔らかい食べ物だったっけ?」と驚いてしまいました。

 たくさん写真を撮らせていただき、子どもたちの教材がさらに充実することになりました。

 今回取材にご協力いただいた「幸丸(ゆきまる)」さんのくぎ煮は、深日漁港1階で購入することができます。

 今回はここまで、このゆびと~まれ。

                 (岡田 良平)(次回掲載は26日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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