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このゆびと~まれ

【第85回】伝わらなかった言い伝え

[ 2021年10月11日 05:00 ]

まさか鳥に食べられるとは思わなかった、、、
Photo By スポニチ

 みなさん、こんにちは。深日小の岡田です。

 岬町に伝わる漁師さんの言い伝えを、深日の漁師さんたちから聞き取りしたら、ほとんどの方が知らないという結果が待っていました。

 唯一、深日漁業協同組合の南組合長が「親や先輩から昔聞いたよ」ということで、いくつかの言い伝えや様々なエピソードを教えてくれました。

 そこには漁師さんの世界観や深日や港町の社会を色濃く残したお話ばかりでした。この話は違う回でご紹介しますね。

 結論から言いますと「漁師さんの言い伝え」が現役世代の漁師さんには「伝わっていなかった」ということでした。

 他にも新しく、面白い話が聞けるはずだと思っていたのですが、そう簡単にはいきませんでした。

 諦めようかと思ったのですが、組合長や漁師さんのご協力を思うとそれも申し訳ない。そこでふと思いつきました。

 「そうだ!伝わらなかったから伝え直したらいいんだ」ということに!

 『岬町の歴史』に残された部分だけでも広めていけば、地域の魅力を再発見できるのではないか。

 3年生の地域学習の一環として「漁師さんの言い伝えクイズ」を企画して、子どもたちと取り組むことにしました。

 子どもたちには「漁師さんたちには昔から言い伝えがあるんだよ」ということだけ説明し、いきなりクイズです。

 ――第1問。どうして漁師さんはお弁当に酢の物を入れないのでしょうか?

 「えー!!!わからん」

 「先生、酢の物って何?」

 「それクイズなん?」

 第1問目から大盛り上がりでした。

 極力、相談はしないで各自答えを書いてもらいます。

 「酔うから」「すっぱいのがよくない」など子どもたちなりの答えは、かわいらしい。

 ――第2問。どうしてお弁当に入っている梅干しを食べた後、その種を海に捨ててはいけないのでしょうか?

 「海にゴミを捨てたらあかん」

 「海が赤くなるから」

 「魚が食べてしまう」など微笑ましい解答が続出します。

 時代の流れ、社会の変化のなかで、十分に伝わらなかったものがたくさんあります。

 まさに民俗学の分野でしょう。子どもたちと取り組む「海の民俗学」、はたしてどんな結果になるのでしょうか。今回はここまで。

 このゆびと~まれ。
                (岡田 良平)(次回掲載は18日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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