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このゆびと~まれ

【第61回】すぐそこにある危機に備える

[ 2021年4月26日 05:00 ]

段ボールベッドを組み立てています
Photo By スポニチ

 こんにちは、深日小の長根です。

 今年で東日本大震災から10年という節目を迎えました。

 未曾有の大災害により多くの尊い人命が失われ、今なお復興の途上にある地域、関係者の方々のことを思うと改めて、私たちができることを今一度考え直し、子どもたちの教育活動に生かしていく必要があります。

 新学習指導要領の実施にともなって、4年生の社会科において防災教育が大きく取り上げられるようになりました。

 それを機に、岬町役場の危機管理担当による岬町の防災に対する備えや非常時に使うテント等の体験学習(3・4年生)、と岬町消防団の方々による心配蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使い方も含めた体験学習(5年生)を企画し実施しました。

 大雨や台風による避難では深日小も避難場所になっていることから、担当の方々から備蓄品の紹介や実際に使うテント、簡易ベッド、段ボールベッドなどを体験させてもらいました。

 子どもたちはワンタッチで設置、収納可能なテントを実際に体験させてもらいました。団員の方からは「使い方を覚えて、もしもの時は大人を手伝ってや!」と言われ、楽しく体験できました。

 また、関西空港の連絡橋に船が衝突したことで記憶に残る2018年の台風21号は、大阪南部に大きな被害をもたらしました。

 危機管理担当の方が少しでも子どもたちにわかりやすく状況を伝えようと、見慣れたいつもの深日の川と同じ場所で、台風21号によって氾濫する川の映像を比較しやすいように編集して見せてくれました。

 映像を見た瞬間、子どもたちから、

 「えーっ!」、「怖い!」、「えっ?ここって同じ場所なん?」、「信じられへん」

 たくさんの驚きの声が上がりました。

 また、地元消防団の女性分団の方々が、心肺蘇生法とAEDの使い方を子どもたちに教えてくれました。

 体験用のセットを使って、友達と協力して活動することができました。

 この学習では自分の目の前で、誰かの「命」が危険な状況にある場合が訪れた時に、何ができるのか?ということを子どもたちが考える機会になりました。

 自分の身は自分で守る。そして、自分たちのふるさとは自分たちで守る。

 今回はここまで。このゆびと~まれ。
 
                (長根 わかば)(次回掲載は5月3日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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