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このゆびと~まれ

【第88回】地元にいてるのにもったいない感がある

[ 2021年11月1日 05:00 ]

深日で漁師をされている中出さんご夫妻。タッチングプールの案件を漁協に通してくれました。今年NHKで放送された『「えぇトコ』」にて、「ピチピチ光れ!ナニワの漁師―大阪 南泉州―」にもご夫婦で出演されていました
Photo By スポニチ

 みなさん、こんにちは。深日小の長根です。

 深日小では今年度、笹川平和財団の海洋教育パイオニアスクールの研究助成をいただき、『海洋文化の交流による港町のふるさと再発見―小大連携による「ひと・まち・つながり・ひろがる教育」―』と題して、関西大、龍谷大、金沢星稜大の研究者らと連携して、岬町の豊かな海洋資源を生かした教育と研究活動を始めました。

 1学期には、水産技術センターの見学だけでなく、大阪府唯一の自然海岸である長松海岸での磯遊びを水産技術センターの職員の方のサポートのもと実施することができました。

 また、図工で海の絵を描いたり、総合的な学習の時間では、深日に伝わる「逆ことば」の学習や漁師さんの古い言い伝えについての学習も進めています。

 そして今回、深日漁業協同組合のご協力のもと、深日漁港で水揚げされた様々な魚を地元の漁師さんのアドバイスのもとタッチングプールで実際に触ってみるという体験学習を企画しました。

 その企画を練り上げていく中で、地元の漁師さんたちの想いを聞く機会がありました。

 今回はその話について紹介したいと思います。

 深日小の子どもたちの学習に、漁協がいつも全面協力してくれているのですが、そもそも「なぜ助けてくれるのか」という素朴な疑問がありました。

 そんな疑問を正直にぶつけた時に、もちろん子どもたちのために役に立ちたい!というのが一番だったのですが…

 「地元にいてるのにもったいない感があるんよな。だって、ほんまに遊びで釣りしてる地元の子ども見たことないで。みんな週末に大阪市内の方から来てるやん。海があるのが当たり前過ぎるんかもしれん。でも、実は海の中に何がおるかなんてザックリしか知らんのよ。アジがおる、タイがおる。そりゃおるよ。でもそこでおしまい。でもな、釣って、しめて、ほんまにうまい魚を食べるってことまでは知らんのんちゃうかな。それがもったいないなと思うなあ」

 身近にありすぎて見えてこないもの。いつでもできる!と思って行動に移していないことはありませんか。

 きっと世界各地に同じことが言える気がします。

 そんな漁師さんの気持ちを、授業に取り入れ学習します。中身は次回のお楽しみに。このゆびと~まれ。
              (長根 わかば)(次回掲載は11月8日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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