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このゆびと~まれ

【第84回】漁師さんの言い伝え

[ 2021年10月4日 05:00 ]

岬町教育委員会編,『岬町の歴史』,1995年
Photo By スポニチ

 みなさん、こんにちは。深日小の岡田です。

 それぞれの自治体には『◯◯市史』や『◯◯町誌』というそのまちの自然、歴史、文化、産業などをまとめた本があります。

 あまり目にする機会はないかもしれませんが、図書館などの施設に所蔵されていることが多いです。

 もちろん岬町にもあります。1995年に編纂(さん)された『岬町の歴史』です。

 今回はここに書かれている数行の記録から調査を開始しました。

 以前、深日に伝わる「逆ことば」の話を紹介しました。その際に、地元の方に話を聞いたり、資料収集をしている時に『岬町の歴史』に「漁師の禁忌(き)」という項目を見つけました。

 岬町には淡輪・深日・谷川・小島の4漁港があります。それぞれに親や先輩の漁師さんから聞いた言い伝えがあるというのです。

 例えば「出漁前には酢(ス)の物を食べない」、「弁当に酢(ス)の物を入れない」とあります。

 これは「素(ス)で戻る(漁獲がない)」に通じるので縁起が悪いそうです。

 他にも「弁当に天ぷらを入れない」、「弁当に入っている梅干しを食べた後、その種を海に捨ててはいけない」というのもありました。

 天ぷらは揚げ物なので「漁があがってしまう(商売があがる)」

 「梅干しの種は海に沈んでしまい、岸に上がって芽が出ることはない」ため縁起が悪いとされてきました。

 こうした話が書かれているのです。

 今でも漁師さんたちはこうした言い伝えを知っているのだろうか。他にもこうした話があるのだろうかと思い、子どもたちと調べようと企画しました。

 まずは教師たちで深日漁業協同組合のみなさんにご協力いただき漁師さんに聞き取りをしたのですが、ほとんどの方が知りませんでした。

 スタート直後から行き詰まったこのお話どうなるのでしょうか。

 今回はここまで。このゆびと~まれ。

                (岡田 良平)(次回掲載は11日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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