【コラム】西部謙司

ジダン監督とレアル・マドリード

[ 2016年5月2日 05:30 ]

来季も指揮を執っているだろうか…ジネディーヌ・ジダン監督(レアル・マドリード)
Photo By AP

 元リバプールで現在はコメンテーターのジェイミー・キャラガーが、マウリシオ・ポチェッティーノ監督(トッテナム)に来季のレアル・マドリード監督就任の噂が出たことに関して、「選手や監督にとっては(マドリードは)夢かもしれない。しかしあそこはおかしなやつらの住処だ。監督は宝くじに当たらなきゃ2年と続かない」 と、話したという。

 かなり痛烈な言い方だが的を射ていると思う。 レアル・マドリードの現在の監督はシーズン途中からジネディーヌ・ジダンが務めている。ジダンはレアルのレジェンドだが、これまでの例からして、無冠に終わればおそらく解任されるだろう。“白い巨人”の監督が無冠で終わることは許されない。過去には首位を走っているのに解任された監督もいたし、リーグ優勝して解任となった人もいる。

 レアル・マドリードの監督には、常に3つの課題がある。

 (1)高価なスタープレーヤーの力を発揮させる
 (2)最低限の守備力の構築
 (3)必ずタイトルを獲る

  スタープレーヤーを揃えたレアルの監督は、彼らを使い切って華やかなプレーで勝利しなければならない。しかし、クラブの補強方針が補強というよりスターのコレクションであり編成が攻撃過多なので、負けない程度の守備は構築しなければならない。そのうえで、何か1つはタイトルが必要になる。

 ジダン監督は良くやっている。ロナウドやベイルなど攻撃のスターを蘇らせた。そのうえで、カゼミーロをMFに起用して守備を強化した。カゼミーロはかつてのマケレレと同じく、ぎりぎりで攻守のバランスを支える役割である。残るタイトルは、CLとリーガ・エスパニョーラの両方に可能性がある。CLはヴォルフスブルクに先勝されて崖っぷちに立たされたが、ホームの第2戦で逆転。リーガもバルセロナの独走で望み薄だったのだが、アウェーでバルサを下して流れを変え、1ポイント差に迫った。

 ただ、ジダン監督にとってはより仕事は難しくなったかもしれない。CL1本に絞れていたら、リーガでは主力を休ませる手もあった。バルセロナほどプレッシングが洗練されていないので、守備はスタミナ次第のところがある。コンディションは今のレアルに とって命綱だ。2つのタイトル獲得が可能になったことで、かえってコンディション維持が難しくなった。

 どちらか1つを獲ればジダン監督は継続、2つ獲ったら名監督誕生となるが、どちらも逃せばクビが濃厚。キャラガーの言葉を借りれば「宝くじ」に当たるかどうかである。(西部謙司=スポーツライター)

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