【コラム】西部謙司

最後の国立競技場とコンディション

[ 2014年3月8日 05:30 ]

最後の国立競技場での試合へ聖火台をバックに集合写真を撮る日本代表。(前列左から)遠藤、斎藤、香川、ザッケローニ監督、長友、酒井高、清武(中列左から)伊野波、大迫、山口、細貝、青山、駒野、工藤、岡崎、豊田(後列左から)酒井宏、吉田、権田、川島、西川、森重、本田
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 東京五輪へ向けて大改装に入る国立競技場、ニュージーランド戦が最後の試合となった。

 日本代表選手の所属クラブがACミランやマンチェスター・ユナイテッド、インテルになろうとは、スタジアムが出来たときには想像もできなかったはずだ。

 この時期の試合にしては日本選手のコンディションも悪くなかった。毎年、この時期の代表戦は低調に終わる。Jリーグが開幕したばかりで試合勘が足りなかったからだ。ところが、プレーしているのはヨーロッパ のクラブに所属している選手が大半になり、試合勘自体には問題がなくなった。マンチェスター・ユナイテッドであまり試合に出ていない香川真司も前半だけなら良いプレーぶりだった。

 ヨーロッパ組は試合勘に問題はないが移動や時差がある。東回りのフライト12時間は世界的にも最悪に近い条件なのだが、長友佑都や岡崎慎司に疲労の色はみられなかった。このあたりもコンディション調整が上手くなったのか、タフになったのか、進化しているのは間違いない。

 W杯は6月に始まる。ヨーロッパ勢はシーズンオフにあたり、長いリーグ戦の後に束の間の休息をとってから大会へ向けて調整する。シーズンの長いイングランドなどは、毎回コンディショニングに苦しんでいるが、ヨーロッパ勢にとってW 杯はコンディション調整がなかなか難しい。

 一方、日本代表はJリーグがシーズン途中ということもあって、体力的にも充実していて試合勘も十分、コンディション面では有利だった。ところが、今回のW杯は代表選手の大半がヨーロッパでプレーしている。ブラジルやアルゼンチンもそうだが、コンディション面でヨーロッパ勢と条件がほぼ同じになる。

 最後の国立でのゲームで、これまでよりコンディションが良かったのと同じ理由で、W杯への調整が難しくなるわけだ。日本のサッカーは進化し、新しい局面を迎えていることの表れの1つである。(西部謙司=スポーツライター)

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