古舘伊知郎 12月に一夜限りのトークライブ 「疲れ切って真っ青になった俺を見て」

[ 2022年10月4日 08:00 ]

古舘伊知郎
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 【牧 元一の孤人焦点】フリーアナウンサーの古舘伊知郎(67)が12月3日に東京・有楽町よみうりホールで、トークライブ「トーキングブルース」を開催する。

 昨年までツアーを行っていたが、今年は一夜限り。取材に応じた古舘はその意味合いについて「一発勝負で原点に返る」と語る。

 一夜限りの開催は所属事務所の社長から提案されたという。

 「私は嫌だった。昨年は12カ所に行ったので、今年は増やして20カ所に行きたかった。ところが、社長は『昨年までとは違う形にしたい。1回で』と言う。『多くの人に聞いてもらいたい』と抵抗したが、『リセットして、もう一度、原点に戻った方がいい。トーキングブルースを見つめ直そう。それで2度目の始まりが迎えられる』ということで説得された」

 トーキングブルースがスタートしたのは1988年。東京・原宿クエストホール(昨年に閉館)で行われた初回のテーマは「人が言葉を持ったとき悲しみが生まれた」だった。

 「その時、『なぜ人は言葉を持ち、喜びや悲しみを持ってしまっのか』ということの答えを出していなかった。私は当時34歳だったが、それから34年がたとうとしている今、若干の答え合わせをしたいと思う。一発勝負だから、逃げがきかない。今回はフリートーク、無駄話はしない」

 今回のテーマはそのものずばりの「言葉」だ。

 「今、当日に向けて、言葉の探求の旅に出ている。言葉とは何だろう?ということを一生懸命に考えている。例えば『海』と言っても、タヒチで育った人と日本海沿岸で育った人では、その言葉で思い描く脳内の情景が違う。言葉は危うさをはらんでいて、誤解、いさかいが生まれ、戦争が起きてしまうこともある。こんな話をしても大学の講義みたいになってしまうので、言葉の効能や功罪に関することを通奏低音にしながら、面白おかしく、きりきり舞いして、しゃべっていきたい」

 最近のトーキングブルースの所要時間は約2時間が基本となっているが、一発勝負となれば時間延長も予想される。

 「私は2時間30分やりたいが、絶対に反対されると思う。2時間が聞きやすい時間だと分かっているし、私自身も2時間話していると軽い酸欠になる。ただ、『疲れ切って真っ青になった俺を見てくれ。これが一発勝負だ!』という気持ちもある。2時間30分は絶対にダメだと言われるだろうから、その合間で2時間15分ということで折衝しようと思う。私は酸欠になるとうれしいという世界でただ1人の人間。いつ死んでもいいという気持ちでやる」

 135分1本勝負で収まるかどうかは未定だが、いずれにせよ、過激なデスマッチになりそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年10月4日のニュース