ロシア外交専門家の畔蒜泰助氏「停戦交渉を再開するタイミングではないんだろう」軍事侵攻の長期化を予想

[ 2022年6月4日 17:34 ]

 ロシア外交が専門の笹川平和財団主任研究員・畔蒜泰助(あびる・たいすけ)氏が4日放送のテレビ朝日「中居正広のキャスターな会」(土曜正午)に出演。ロシアによるウクライナ侵攻の行く末について語った。

 番組ではロシアの軍事侵攻から3カ月がたち、ロシア、ウクライナそれぞれの国内の現状や兵力について分析。経済制裁を受けているロシアではコカコーラ、ペプシなど世界的飲料が販売停止になっていることから、ロシアの地元企業が発売したコカコーラに似たクールコーラやファンタに似たファンシー、スプライトに似たストリートが販売されいてることなども紹介した。

 畔蒜氏はなぜウクライナが軍事力で上回るロシアに対し、善戦できているか尋ねられ「ウクライナ軍はロシア軍に比べて士気が高い。ロシアが一方的に領土に攻めてきた。ウクライナ軍としては国を守る大義名分が圧倒的にある。そういう意味で士気が高い。さらに欧米から今、武器が到着しつつある。現在も士気を失うことなく戦っている」と説明した。

 一方でロシア軍に関しては「ベラルーシ側からウクライナに入ったが、ほとんどの兵士はウクライナに行くって知らされずにベラルーシで軍事演習をやるだけなんだと言われて、入っていった。しかも食糧とか十分に準備されず入って行った。ロシア軍としても本来の力が十分に発揮できないような状況で戦争が始まった」と指摘。「上層部の人達はある段階で、プーチン大統領含め首脳部から知らされていたが、おそらく末端で戦う人達が知らされたのは、本当に直前になってからなんじゃないかと思います」と現地の兵士はぎりぎりまで侵攻を知らされてなかったのではとした。

 そして「今回のウクライナとの戦いは非常に限られた人達のなかで意思決定がされていた。ロシアとしても軍事侵攻が始まったら、3日ぐらいでキエフを陥落し、ウクライナ軍は降参するだろうと甘い見通しのもとにロシアは軍事作戦を開始した」と分析した。

 その上で今後について「非常に難しいんだと思うんですよね。ウクライナ側は今、西側の兵器がどんどん届いている。一時的にロシアがウクライナ東部に占領地を拡大しているわけですけども、ウクライナ側もこれから反撃をするという状況。お互いがまだ、止めるタイミングではないと考えている。だとすると、今のところ中々、戦争を止めるための停戦交渉を再開するタイミングではないんだろうと思います」とさらに軍事侵攻が長期化するのではとした。

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2022年6月4日のニュース