渡辺名人、封じ手に1時間49分の大長考 1日目最長考慮で斎藤八段との第3局は午後9手しか進まず

[ 2022年5月7日 19:31 ]

封じ手を立会の深浦康市九段に託す渡辺明名人(右)(日本将棋連盟提供)                            
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 渡辺明名人(38)=棋王との2冠=が斎藤慎太郎八段(29)の挑戦を受ける第80期名人戦第3局は7日、福岡市で、渡辺の先手で1日目が始まり午後6時半、渡辺が49手目を封じて終了した。昼食休憩までの3時間で39手進んだ午前に対し、午後の5時間半で進んだ指し手はわずか9手。右桂跳ねに1時間19分使った斎藤に対し、渡辺も直後その桂頭を攻める打ち歩に52分。事前研究の領域を離れ、濃密な読み合いに突入した。

 第1、2局を制した渡辺が23日、斎藤は21日にそれぞれ誕生日を迎え、お互いに一つずつ年齢を重ねて迎えた第3局。立会人の深浦康市九段(50)が午後6時半、「渡辺名人、封じ手時刻になりました。次の手を封じてください」と告げると、渡辺は即座に「封じます」と応じた。

 斎藤が48手目を指してから実に1時間49分のこの日一番の長考になった。封じ手は斎藤桂を獲る手か、自陣整備の金上がりの二択と見られ、時間消費と引き替えに一晩その先を考えるメリットを優先したと見られる。

 渡辺が勝てば3連覇へ王手。斉藤が勝てば待望の初白星になる。03年王座戦でタイトル初挑戦して以降、今年2月、第71期ALSOK杯王将戦7番勝負で藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=にストレート奪取されるまで、42度タイトル戦に出場した渡辺は歴代4位の30期獲得した。タイトル戦7割の高勝率を誇るが、連勝発進したタイトル戦の第3局はこれまで8勝7敗とほぼ互角。星勘定で優位に立ってもどこまで厳しく勝負に徹することができるかが見所の一つとなりそうだ。

 封じ手の長考で、1日目の消費時間は渡辺が3時間41分、斎藤は4時間21分と40分差にまで接近した。2日目も同所で午前9時再開される。

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2022年5月7日のニュース