千葉真一さん「深作イズム」最期まで 欣二監督長男・健太氏に40年超構想映画への協力依頼

[ 2021年8月24日 05:30 ]

89年、映画「リメインズ 美しき勇者たち」で初めて監督を務めた千葉真一さん(左)。後ろは深作欣二監督
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 新型コロナウイルス感染による肺炎のため19日に亡くなった俳優の千葉真一さん(享年82)と数多くの作品でタッグを組んだ故深作欣二監督の長男で演出家の深作健太氏(48)がスポニチ本紙の取材に応じ、千葉さんが40年以上構想を温めていた映画への協力を依頼されていたことを明かした。

 タイトルは「ラブ・アゲイン」で、仲たがいしていた親子が同じ痛みを共有したことで絆を取り戻していく物語。健太氏が5歳の時に、ジャパン・アクション・クラブ(JAC)のスキー合宿のリフトで聞いた話で「ラストシーンで親子がスキーをしてシュプールを描く構図などを熱っぽく話していただいた」ことを鮮明に覚えている。

 深作監督と多くの作品でタッグを組んだ千葉さんは、リアルなアクション描写で知られる深作イズムの体現者だった。「ラブ・アゲイン」に関しては、今年春ごろに「俺は深作イズムでしか映画を撮れない。健ちゃんに力を貸してほしい」とメールで脚本を依頼。その後も電話やメールで連絡を取り合い、千葉さんは入院中の今月10日にも「一度相談に乗っていただけますか」とメールを送るほどの執念を見せていた。健太氏に監督を任せようとした可能性もある。

 しかし、返信ができないまま千葉さんとの突然の別れに、健太氏は「子供の頃からかわいがってもらって、事あるごとに“映画やろうよ”と言ってくださった。二番目の父親だと思っている。忙しさでごまかしている自分がいて、また親不孝をしちゃいましたね。悔しいです」と唇をかむ。この10年ほどは舞台の仕事に主軸を置いていたが、「事あるごとに、映画をやろうよと声を掛けてくださった。返し切れない恩ばかりですが、自分が仕事をやっていくことで返すしかないと思っています」と決意を新たにしていた。

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