近藤誠也七段の現在地「目標は変わらない」 25日には25歳の誕生日

[ 2021年7月22日 15:50 ]

第71期ALSOK杯王将戦2次予選決勝進出を決めた近藤誠也七段(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第71期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は21日、東京都渋谷区の将棋会館で2次予選2組準決勝を行い、近藤誠也七段(24)が三浦弘行九段(47)を破って決勝進出を決めた。25日に誕生日を迎える近藤が描く、25歳のビジョンを聞いた。

 7月21日、近藤にとって24歳最後の対局ではタイトル経験者の三浦と激突。百戦錬磨のベテラン強豪を相手に、「予定通り」という相掛かりを採用した。

 「相掛かりでじっくりした戦いでいこうかなと思っていました。後手が(24手目)8六歩を垂らしたあたりであまり指したことのない形になって、一手一手慎重に考えながらやっていました」

 三浦の仕掛けた左辺への攻めを冷静に受け切り手番を握る。

 「やってくるだろうなと思っていました。▲9六香、△9八角成の瞬間があまり大したことがなくて、以下△9七馬から香車を取られるんですけど、それ以上に先手の攻めの方が厳しいかなと思ったので踏み込んで行けました。感想戦で調べたんですけど、三浦九段としても『あまり上手くいかなかった』というコメントもありました。先手の方が陣形が綺麗と言いますか、美しい形なんです。以下、▲6六角から3七桂と跳ねていって攻めが続くかなと思っていました」

 中盤以降にペースを握ると、最後は王手馬取りの「十字飛車」を決めて三浦を投了に追い込んだ。「もうちょっとすっきりした寄せがあったかもしれませんが、自分の方が残していたので」と静かに対局を振り返った。

 次戦、5期ぶりの挑戦者決定リーグ復帰をかけた決勝戦は名人3期のA級棋士・佐藤天彦九段が待ち構える。生粋の居飛車党だった佐藤は昨期の挑戦者決定リーグ対藤井聡太2冠戦で中飛車を採用し、大きな話題を呼んだ。以降、振り飛車も積極的に指しこなしている。

 「佐藤九段とは公式戦で2局目の対戦になるんですけど、前回(2017年)も王将リーグ入りをかけた決勝で当たってるんですよね。約4年ぶりの対局になりますが、(戦型は)何で来られるか全く分からないですね。いろいろなパターンを考えていきたいと思います」

 近藤の今年度の成績は11勝3敗で勝率0.7857、勝数ランキングでは5位と若手トップ棋士としての存在感を日に日に増している。

 「うーん……、最低限の成績です。もうちょっと頑張りたいです」

 しばし沈黙の時間が漂うと、それまで手元の棋譜に向けられていた視線が上がり、意を決したように言葉に熱が込もる。

 「タイトル戦に絡んだことが1度もないですし、その目標は変わらないですね。タイトルに向けて、というところです」

 当時20歳で挑んだ挑戦者決定リーグから5年、王将リーグ復帰に掛ける思いは強い。しかし、視線の先はもっとずっと遠くをとらえる。憧憬から覚悟へ。25歳の飛躍と挑戦に期待せずにはいられない。


 ◇近藤 誠也(こんどう・せいや) 1996年(平8)、千葉県八千代市出身の24歳。所司和晴七段門下。15年10月、四段プロデビュー。16年、初出場した第66期王将戦で一次予選から勝ち上がり四段で挑戦者決定リーグ入り。20年、順位戦B級1組昇級で七段に昇段した。

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