朝ドラ「おちょやん」 井川遥が演じるスター女優の面白み

[ 2021年1月20日 08:30 ]

NHK連続テレビ小説「おちょやん」でスター女優・高城百合子を演じる井川遥(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】こんな人が身近にいたら大変だろう。でも、とても魅力的だ。女優の井川遥(44)がNHK連続テレビ小説「おちょやん」で演じているスター女優・高城百合子に引きつけられる。

 例えば、18日の放送。百合子は撮影所で、久しぶりに主人公の千代(杉咲花)と再会したものの、無反応。その後、別の場所で「どこかで会ったことがあるような。ないような…」と記憶をたぐり、「あ、レイチェルにどことなく似てる!」と言い放つ。レイチェルとは、人間ではなく、昔飼っていた九官鳥。「だから知っているような気がしたんだわ」と独り合点する。

 なかなかの天然ボケだ。美形で、ふだん高慢な印象のため、ギャップが大きく、面白い。この複雑なキャラクターを井川は自然体で演じているように見える。

 井川が朝ドラに出演するのは、2006年の「純情きらり」で主人公(宮崎あおい)の姉・有森杏子、18年の「半分、青い」で漫画家(豊川悦司)の秘書・菱本若菜を演じて以来。「多くの方の生活の中にある朝ドラに出演できるのは、やはり特別な喜びがあります。出演した時は必ず『杏姉ちゃん』『ひしもっちゃん』とその役名で呼ばれるのもうれしい。今回は人の何倍もの濃い人生を歩んだ女性を演じるので私自身がタフでエネルギッシュでなければと思いました」と明かす。

 百合子はもともと舞台女優だったが会社の方針で映画女優に転身したという設定。撮影所では、妥協知らずの映画監督・村川茂(森準人)と演技をめぐってギクシャクした関係にある。

 井川は「百合子は自分のやり方にまったく迷いがない。私自身はいつも、これでいいのだろうかと考えてしまう方なので、対極にあるような気がします。時代の変化や弾圧などさまざまな時代背景の中で、気後れすることなく突き進み、命がけで生きる姿は本当に驚くばかりです」と話す。

 20日の放送では、百合子は撮影で「さようなら」のセリフひと言を何度もやり直しさせられ、監督に「何がいけないのかしら?」と怒りあらわ。「君のお芝居は、僕の映画になっていないんだよ」と監督に断言されことから、このままではすまないだろうと思わせた。

 主人公の千代のモデルは女優の浪花千栄子さん。百合子のモデルは明示されていないが、ここまでの物語を見ると、小津安二郎監督の映画「東京の女」(1933年)などに主演した女優の岡田嘉子さんをほうふつさせる。岡田さんの人生も波瀾(はらん)万丈で、とても興味深い。

 井川は「この時代に毅然(きぜん)と道を切り開いた女優の生き方を、ちょっと天然でつかみどころのないおかしみの部分もあわせて百合子の魅力として楽しんでもらえたら」と語る。

 千代の物語と並行して描かれる百合子の物語もこのドラマの見どころだ。
 
 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

続きを表示

「美脚」特集記事

「嵐」特集記事

2021年1月20日のニュース