構想12年 「台風家族」市井監督「小説も映画も“我が子”」

[ 2019年5月23日 13:56 ]

「市井点線」名義で発表した小説「台風家族」を手に笑顔の市井昌秀監督と市井早苗
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 映画監督の市井昌秀氏(43)と妻で女優の市井早苗(41)が共同執筆小説「台風家族」(キノブックス)が22日に発売され、このほど2人でスポニチの取材に応じた。構想12年の意欲作。妻との共同名義「市井点線」として初めて発表した作品にもなった。

 物語は父親が強盗事件を起こしてから10年後が舞台。実家の葬儀社に集まった4人の子供が大騒動を巻き起こす。

 12年前の発想時点では高齢男女の物語。市井監督が地元の富山から単身上京し「両親のことを考えない時間に罪悪感を抱いた時期が続いた」ときに着想を得た。元ネタをもとにフィルムフェスティバルへ出品したが結果はふるわず。舞台向けに「残された家族」へ発想を転換し脚本を磨いてきた。「出来る限り生々しく描きたかった」とリアリティーを出すため弁護士らへの取材も重ね「単純に面白い小説をかけた」と納得のいく仕上がりになった。

 「市井点線」は早苗が考案。点と点が線で結ばれて大きな力を生み出すという思いを込めたという。「星を線で結ぶと星座になります。人間も同じ。知らない人同士が集まった時、大きな力を生み出せる。今回の仕事も全く点でつながりのなかった人たちと縁があって支えてもらい、この世は点と線でできてると再認識できたので、ユニット名にしました」。隣の市井監督が「市井大騒動、市井大爆走、市井金平糖とか100個ぐらい候補はあった。妻があんまりしつこいんでしぶしぶ…」と消極的な意見を口にすると、「他のはあまりにバカバカしくて絶対イヤだったんです」と早苗が笑いながら言い返した。執筆中もこうしたテンポのいいやりとりが展開されていたのではないかと思わず想像してしまった。

 6月には同作の映画版が公開されるはずだった。しかし、出演俳優の新井浩文被告が2月に強制性交罪で起訴された影響で公開は宙に浮いたまま。市井監督は慎重に言葉を選びながら「小説にしても映画にしても“我が子”のような気持ちでしっかり完成させたからには世に送り出したいという気持ちが一番です」と吐露した。

 映画の公開に向けて鍵を握るのが小説の反響だろう。1人1人の声は“点”のように小さいかもしれない。それでも、小説が共感を呼び「映画を見てみたい」という“線”でつながっていけば大きな推進力になるはずだ。

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