追いつかれた要因になった阪神・木浪の失策 帽子を叩きつけた湯浅を見て何を思ったか

[ 2023年6月4日 08:00 ]

交流戦   阪神6-5ロッテ ( 2023年6月3日    甲子園 )

 9回無死、山口のゴロで失策を犯す木浪(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 【畑野理之の談々畑】11回1死満塁で小幡竜平が中前にサヨナラ打を放ち連敗は2でストップ。ベンチから飛び出してきたチームメートの中に木浪聖也もいて、大はしゃぎでウオーターシャワーを浴びせていた。

 チームが勝ってうれしいが、木浪にとっては正直なところ、複雑な気持ちだっただろうし、また、そうでないといけないと思う。5―2の9回、先頭の山口航輝の何でもないゴロをはじいて出塁を許した。ここから追いつかれた。

 直後、9回裏の先頭打者でこの試合初安打となる中前打を放った。失策を取り返したい一心の意地の一打だったが、代走・植田海を送られてベンチへ下がり、この回で決着はつかなかったため、10回から代わりに遊撃に就いた小幡が、最後に大ヒーローになるという皮肉だった。

 3点のリードを守れなかった湯浅京己が帽子をグラウンドに叩きつけて悔しがったのを、木浪はちょうど目の前で見ていた。失策をした自身に向けられたものではないことはもちろん分かっている。それでも失点がかさむごとにツラさが増し、自分ではどうすることもできない時間だった。湯浅が9回を任されることの責任感の強さ、そして大竹耕太郎の白星を消してしまった守護神としてのプライドを知った。代走を送られてベンチに戻ってきた時に湯浅と大竹がハイタッチで出迎えてくれて、すぐに自分も声を出して応援に回った。落ち込むことも、反省も、ゲームが終わってからすればいい。

 開幕スタメンは小幡に譲ったが、木浪は7戦目の4月8日の広島戦で初めて先発出場すると、攻守で結果を出し続けてこの日まで44試合に守り抜いてきた。レギュラーはもう安泰だと思ったことは一度もないだろうし、いつも危機感を持ち続けてきただろうが、プロの世界は落とし穴はいたるところにある。急に試練を与えられたのかもしれない。なぜゴロを捕れなかったのだろうと、今はそのシーンの繰り返しだと思う。木浪と小幡の競争がまた始まる。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年6月4日のニュース