「6月3日」は阪神・大山の日 3年連続弾も「小幡のこと、書いてあげてください」弟分の殊勲称える

[ 2023年6月4日 06:20 ]

交流戦   阪神6-5ロッテ ( 2023年6月3日    甲子園 )

初回1死一、二塁、大山は中越えに先制の3点本塁打を放ち筒井コーチに迎えられる (撮影・後藤 大輝)
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 日頃から弟分としてかわいがる小幡の殊勲を、阪神・大山は誰よりも喜んだ。「きょうは小幡のこと、たくさん書いてあげてください!」。報道陣に促しながら、背番号3は取材エリアへの階段を上った。

 死闘の幕開けは、4番の一振りだった。まだ日が高かった初回、1番・近本、3番・ノイジーの四球で築いた1死一、二塁で、大山がカウント2―2から種市が投じたスライダーを砕いた。聖地のバックスクリーンへかけた一筋のアーチ。西武3連戦を1勝2敗で負け越して帰還した虎へ活を入れる、今季6号の特大3ランだ。

 「浮いてきたボールをしっかりと仕留めることができた。大竹が頑張ってくれて、いい勢いをもたらしてくれていた。何とか先に点数を取りたかった」

 「6・3」は圧倒的好相性を誇る「大山の日」と言っていい。昨年は日本ハム戦(甲子園)で1試合3本塁打を放つ大爆発、21年6月3日もオリックス戦(同)で豪快な一発をバックスクリーン右へと叩き込んだ。この夜の放物線で「6・3」は3年連続で計5本塁打。さらに打率・318、10本塁打と噴火した昨年の6月を再現すべく、まずは交流戦の甲子園初戦で主砲が威厳を示した。

 「追加点が取れなくて苦しくなったのは反省点ですけど、最終的に勝つことができたのは良かった」

 4番の重責とチームの浮沈を背負う。快打が続く日ばかりではなく絶好機の凡打で敗れた日も一度や二度ではない。それでも仲間は口々に言う。「大山が打てなかったら、もう仕方ない」――。そう言わしめる、大山の練習量、態度、そして存在感。真摯(しんし)に野球へと向き合う男がけん引するから、虎の黒星はいまだ3つ続かない。

 大山は繰り返した。「きょうは小幡のこと、書いてあげてください」。階下からびしょ濡れの小幡の足音が聞こえる。ヒーローの晴れ舞台を妨げぬよう、兄貴分は静かにクラブハウスへと引き揚げた。(八木 勇磨)

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